躑躅咲く庭園の中の石畳の小路を行くと、枝分かれした回廊があり、それぞれが独立した離れに繋がっているもよう。
私たちの部屋は突き当りを左に曲がり、さらにじくざぐと曲がった先で「松」という離れだった。
室内は一般の旅館の客室と同じような感じだが、なんといっても部屋に温泉のお風呂が付いている。これがものすごーく嬉しい。とびあがるほど嬉しい。
露天風呂ではないが、桧風呂。洗い場も広く、なんといっても三方が窓に囲まれている。
もちろん窓の外は庭園だ。
浴槽についている蛇口は二つ。
お湯と水かと思うでしょ? 違うの。温泉とお湯。
つまりね、湯野温泉は源泉がぬるめなんだよ。33度弱と体温より低い。
そのまま使うのではなく各部屋に供給する段階である程度加熱はしているんだけど、熱くはせずできるだけ源泉を活かしている。熱めが良ければお湯を足してねってことらしい。
パパは早速温泉のお湯の蛇口を全開まで捻った。
仲居さんが最初は冷たいのが出ますが、しばらく出しておけば温かくなるって言ってた。