小天狗を出た時にもう4時近かった。
まだまだ今日の行程の1/3も走ってない。
いくら日の長い季節だとはいえ、間に合うのだろうか。
今夜の宿泊は俵山温泉だが、その前にどうしても日の落ちる前に角島大橋まで行きたい。
「もうこのまま真っ直ぐ角島まで走っちゃっていいんでしょ?」とパパが聞く。
「あーっと待って。福徳稲荷神社ってとこに寄りたい。千本稲荷と海が見える絶景らしい」
「どの辺? あまり時間ないよ」
しかし正確な場所がよく判らないまま通り過ぎてしまったようで、気が付いたらその先の集落が見えていた。
「・・・曲がり角、どこかよくわかんなかった」
もっと時間が合ったら引き返すところだが、もう間に合わない。
あーあ。
後は道沿いの海岸に二見夫婦岩なる景勝地があるらしい。
これも、あれがそうかなと思う間もなく通り過ぎてしまった。振り返って、あああああぁぁぁという感じ。
その調子で走りに走って、角島手前の道の駅 北浦街道ほうほくに着いたのは4時15分のこと。
海に面したこの道の駅は、平たい建物の中に入って土産物売り場を突っ切ると、小さな港を見下ろすウッドデッキに出る。
本当に空は晴れていて、雲一つない。
あっ、なんとここから角島大橋が見える。
かなり遠いけど、ちょうど真横から見るシルエットになる。橋の中央に小島があって、その左右にゆるやかな弧を描いて橋桁が見えている。
パパにそれを知らせようと館内に戻ったが、彼はまったく興味が無いようでショップを物色中。ホントに道の駅とか直売所が好きなんだから。