◆◇山口旅行記◇◆
角島・萩・津和野・厳島神社と山口の温泉

8.川棚温泉 小天狗のモダンな浴室

　浴室に入った時、印象的に思ったのはモダンなデザインだった。
　それほど広くは無いと思うのだが、浴室と露天風呂と隔てるガラスの引き戸が開け放たれて続き間になっている作りは好きだ。

　露天風呂は黒御影の縁を使った長方形のもので、ちょっとした鉢物が置いてあるので見晴らしは無いものの箱庭で入浴しているような雰囲気がある。
　露天風呂以上に洒落ているのは内風呂だ。
　楕円形のタイル張りの浴槽。小さ目の青いタイルは南欧リゾート風。
　壁もタイルでこちらはスタイリッシュな白黒の市松模様。一部はレンガ調。
　ただしこれらは女湯の話で、後で聞いたら男湯は内湯も普通の四角いものだったそうだ。

　お湯は無色透明。
　露天風呂の日の当たる所では粉のような湯の花も見える。これら湯の花は表面に浮いているのではなく湯中に漂っている。
　においはほんのりと何というでも無く。
　温度は適温。湯口からその温度なので普通に触れる。飲んでみるとうす甘い塩味。ただしごく淡い。
　温まり方は変な感じ。そんなに熱くないのに熱が逃げず、体の温度調節機能が壊れたみたいになる。これが放射能泉というものだろうか。長くは入っていられないので、上がって涼んでも冷えない。
　肌触りはきしつきが強く、ぎっしぎしと滑らない感じだった。

　いつの間にか先客は上がってしまった。
　露天風呂もいいけどやっぱり内湯がいいみたい。
　タイルの縁に腕を掛けて、その上に頭をのせて、晴れた午後にこの洒落た浴室を独占している時間を楽しんだ。