後生掛温泉のお風呂と言えば箱蒸しというぐらい箱蒸しは有名だが、これは入る時首の位置をあわせるのがちょっと難しい。背が高かったり低かったりすると厳しいかも。観音開きになる扉がわりと重くて、勢いよく閉まる時首の位置に注意。
それと箱蒸しの下に「毛せん峠の水」という飲用の蛇口があって、この水がめちゃめちゃ美味しい。のぼせそうになる体に染み渡るように喉を通っていく。
お湯の色は灰色系の強い白濁。
今日入った中で一番白いというか、濁りが強い。きしつく肌触りですぐに指先がしわしわになる。
マッチのにおいに酸っぱい感じのにおいが少し混じる(味が酸っぱいわけじゃない)。
造成泉なので全体的には軽くてあっさりしたお湯。
源泉は同一でオナメ・モトメの湯という泉源。ここの蒸気を沢水に通してお風呂に使っている。
気に入ったのは隅にあった泥湯。目立たないところにある小さな浴槽だけど、底に滑りそうなほど大量の泥。黒に近い濃い灰色でさらさらしたシルト状のもの。べったりとした粘り気はまったく無い。
手ですくえるけど、その手がちょっとタオルに触れただけでタオルが真っ黒に。
この泥は源泉近くの採取場で採取して来るもので、ある意味蒸気に沢水を通したものより本来の効き目があるとも言える。
後生掛に来たら入るべきはここかもしれない。
ところでオナメ・モトメというのは本妻・妾という意味だそうな。
後生掛温泉の後生掛というのは後生(生まれ変わって)に掛ける(来世に掛ける)という意味で、三角関係をこじらせた女性二人が次々と身を投げたという悲恋の言い伝えに基づいているもの。
要約すると・・・
300年前に九兵衛が重病で死にかけた。
通りすがりの若い巡礼が看病し、全快し、ラブラブに。
実は九兵衛には許嫁と7歳の子供がいた。
妻(許嫁)は子供のために夫を迎えに行き、夫の浮気を知る。
一晩にらみ合った末、巡礼は来世に掛けて投身。
それを知った妻も来世に掛けて投身。
・・・最初、男男女?と意味が分からなかったのは、最後まで巡礼の性別が書いていなかったから。九兵衛がバイセクシャルかと思っちゃったじゃんかよ。でもモトメが妾なんだから巡礼の性別は女か。
そうするとこれまた悲しみよりも怒りが湧いてくる。全部悪いのは九兵衛やんかっ。んでもって女性陣も二人して身を投げてどうするんよ。子供居ただろうがっ。
とまあ、哀れな伝説というより、怒りの伝説にしか感じられなかった。