子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★☆☆ 温度は適温
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
GWの東北旅行では昔行きそびれた温泉を訪ねることも目的の一つだったため、特に八幡平ではミーハー路線で宿泊する宿を選んだ。夫がヘビースモーカーで喫煙可能な宿から選択した結果、後生掛温泉に決定。
玉川温泉と新玉川温泉に立ち寄ってから、宿に到着したのは午後4時ちょっと過ぎ。
GWの始まりかけの日として1泊2食付1万5千円前後という宿泊料金は、決して高くはないが、我が家の予算からするとかなりお高めであることも確か。何しろ今回の5泊6日の旅行で一番高かった。
外観を見て夫はちょっとがっかりしたようだ。8千円の宿ならむしろ、「いいじゃんこのノリ」とテンションを上げるところだが、1万を越す価値があるか。
しかし玄関を入って気分は変わった。鬱々とした雨模様の中から明るく乾いたロビーに移動したからだけでなく、外観をパッと見た時よりずっと落ち着いていて綺麗だったからだ。広すぎず、狭くも無く、ごてごてとしておらず、安っぽさが無い。染みついた歴史のようなものは感じられないが、整っていて居心地の良い雰囲気。
後生掛温泉には湯治専門のオンドル部があるので、いかにも昔ながらの山の温泉らしい鄙びなどはそちらで感じられるのだろう。旅館部の方は清潔で小奇麗な宿で落ち着いて過ごしたいと考える一般の観光客が安心して泊れるようになっていた。
まあなんだその、十分に料金相応だと感じた。
部屋も真新しく十分な広さがあった。
浴室の説明を受けたが、大きな浴室と小さな浴室があって、大きな浴室はいわゆる後生掛温泉のシンボルでもある大浴場、小さな浴室は旅館部専用の浴室との事だった。
それでは早速お風呂へ行ってみよう。
ここも先ほどの玉川温泉同様、浴室の蒸気が凄くて全体的に煙っている。あれこれと昔のアトラクション風呂になっていてそれが売りなんだけど、広い浴室があまりにも煙っているのでどこに何があるのかよくわからないほど。
そう、ジャグジーや打たせ湯やサウナや変わり風呂の箱蒸しなど、レトロでおもしろいんだけどよく考えたら現代ならスーパー銭湯にあるあれだよね。昭和のバラエティ風呂なんだ、ここ。
実際にここの浴室を作ったのは昭和60年で、それ以前から普通のお風呂4つ、箱蒸し風呂、打たせ湯はあったが、今の形になったのは昭和後期とのこと。いい意味でもっと古そうに見えるが。だってとっても浴室は味がある。
ちなみに昔の浴室時代は混浴だったそうだ。今の浴室を建てる時に男女別に。
沢山あるお風呂をひとつひとつ見ていく。
一番大きい浴槽は中央の神経痛の湯。神経痛のと書いてあるが、普通の温泉風呂。後から女将さんにどうして神経痛の湯って言うんですか?って謂れを聞いてみたが、特に深い意味は無いようだった。まあ後生掛温泉自体が神経痛に効能があるのだろう。
隣は火山の湯でボコボコと下からジャグジー。
ちっちゃい露天風呂もあって、ここは外気に触れることができるのでミストから出てきてホッとする。沢音もする。
隅の方に打たせ湯と泥湯があり、掛け湯と飲泉所の横の階段を昇ると高い位置にサウナと有名な箱蒸し風呂がある。
これで全部かな。
後生掛温泉のお風呂と言えば箱蒸しというぐらい箱蒸しは有名だが、これは入る時首の位置をあわせるのがちょっと難しい。背が高かったり低かったりすると厳しいかも。観音開きになる扉がわりと重くて、勢いよく閉まる時首の位置に注意。
それと箱蒸しの下に「毛せん峠の水」という飲用の蛇口があって、この水がめちゃめちゃ美味しい。のぼせそうになる体に染み渡るように喉を通っていく。
お湯の色は灰色系の強い白濁。
今日入った中で一番白いというか、濁りが強い。きしつく肌触りですぐに指先がしわしわになる。
マッチのにおいに酸っぱい感じのにおいが少し混じる(味が酸っぱいわけじゃない)。
造成泉なので全体的には軽くてあっさりしたお湯。
源泉は同一でオナメ・モトメの湯という泉源。ここの蒸気を沢水に通してお風呂に使っている。
気に入ったのは隅にあった泥湯。目立たないところにある小さな浴槽だけど、底に滑りそうなほど大量の泥。黒に近い濃い灰色でさらさらしたシルト状のもの。べったりとした粘り気はまったく無い。
手ですくえるけど、その手がちょっとタオルに触れただけでタオルが真っ黒に。
この泥は源泉近くの採取場で採取して来るもので、ある意味蒸気に沢水を通したものより本来の効き目があるとも言える。
後生掛に来たら入るべきはここかもしれない。
ところでオナメ・モトメというのは本妻・妾という意味だそうな。
後生掛温泉の後生掛というのは後生(生まれ変わって)に掛ける(来世に掛ける)という意味で、三角関係をこじらせた女性二人が次々と身を投げたという悲恋の言い伝えに基づいているもの。
要約すると・・・
300年前に九兵衛が重病で死にかけた。
通りすがりの若い巡礼が看病し、全快し、ラブラブに。
実は九兵衛には許嫁と7歳の子供がいた。
妻(許嫁)は子供のために夫を迎えに行き、夫の浮気を知る。
一晩にらみ合った末、巡礼は来世に掛けて投身。
それを知った妻も来世に掛けて投身。
・・・最初、男男女?と意味が分からなかったのは、最後まで巡礼の性別が書いていなかったから。九兵衛がバイセクシャルかと思っちゃったじゃんかよ。でもモトメが妾なんだから巡礼の性別は女か。
そうするとこれまた悲しみよりも怒りが湧いてくる。全部悪いのは九兵衛やんかっ。んでもって女性陣も二人して身を投げてどうするんよ。子供居ただろうがっ。
とまあ、哀れな伝説というより、九兵衛に対する怒りの伝説にしか感じられなかった。
※旅館部専用のお風呂や食事など、後生掛温泉の宿泊についての詳細は旅行記「東北+新潟温泉旅行記*GWの東北5泊6日の旅」をご覧ください