私たちは思わず立ちすくんだ。
最悪だ!?
予測できなかったことはないけど、でもまさか本当にこんなことになっているとは!
おおげさ?
かもね。
でも他に方法は無い。せっかく歩いて精華の湯まで来たけど、もう一度歩いて泊っている中嶋旅館まで戻らねば。
朝風呂に夫と私は台温泉の日帰り温泉 精華の湯に行こうと思ったのだ。昨日の夕方歩いてみて、5分程度の距離だと知ったし。それで財布とお風呂道具だけ持って出発したのだが、あいにくと精華の湯の受付は無人だった。
クローズしていたわけではない。券売の自販機と、券を入れる箱はあった。ただ、私たちに小銭が無かったのだ。
昨日からちょくちょく立ち寄り湯していて、気が付いたらコインはおろか、千円札も使い切っていた。目の前の小さな券売機は1万円札も5千円札も受付無いようだ。
「やられた!」と私たちは顔を見合わせた。まさか無人だとは。
で、しょうがないからまたてくてくと中嶋旅館に戻って、両替してもらって、それでまた精華の湯にやってきた。なんか朝から抜けたことをいている。
そして私たちはこれ以降、決して小銭を切らさないよう気を付けた。
旅行中、財布がパンパンのジャラジャラになってもしょうがない。