初日の宿泊を花巻温泉郷に決めたのは、夫に何か希望は無いか尋ねたところ、「一泊は街に泊って夜、飲み歩きたい」という答えが返ってきたから。
山形1泊旅行の時に山形駅前のビジネスホテルに泊まって郷土料理店やカラオケに行ったこととか、青森旅行の時にむつ市内のシティホテルに泊まって郷土料理店や赤ちょうちん街に行ったこととかが楽しかったらしい。まあこの辺は子連れ旅行を卒業して、大人旅行になったから実現していることなんだが。
それで、今回のルート上で、泊りたい温泉があってかつ飲み屋街のある都市部が近そうなところっていう名目で探したら、花巻温泉郷ぐらいしか見つからなかったわけ。
位置的には初日の宿泊にちょうど良かったし、花巻市街地の近くではあるんだけど、やっぱり繁華街まで徒歩は論外、タクシーでも片道15分以上は掛かる。ちょっと不便かな。
結局旅の半ばの3泊目に秋田市内のビジネスホテルを予約することによって、別段花巻温泉郷から無理やりタクシーで飲みに出なくても良くなったし、というか、そもそも花巻温泉郷に泊らなくてもよくなったのだが、それでも一度その気になって調べた花巻温泉郷はなかなか魅力的で、つまるところ当初の目的が霧散した後も私は花巻温泉郷で宿を探していた。
花巻温泉郷と言えばまずは大沢温泉。
宮沢賢治が幼少期に水車を悪戯したとか、高村光太郎が本物の温泉の味がすると言い残したとか、逸話にも事欠かない有名どころで我が家も2002年の東北旅行で立ち寄っている。
今回も真っ先にここに泊ることを検討したが、あいにくともう高い部屋しか空いていなかった。コストパフォーマンスがあまりよろしくない。それに初日は夫が長距離運転してぐったり疲れているので、できれば泊り宿はお風呂がいっぱい無い方がいい(消極的理由)。で、却下。
次に鉛温泉藤三旅館。
こちらも深いお風呂で有名。白猿の湯と名付けられた混浴のお風呂は極上の足元湧出。お湯の出が悪くなるたびに底を掘り進んだらこんなに深くなってしまったという名物浴槽には入ってみたい。
が、しかしここも予算オーバーの部屋しか空いていなかった。残念。まあGWだしな。
花巻温泉郷にはこの大沢温泉、鉛温泉の他に花巻温泉、台温泉、松倉温泉、志戸平温泉、渡り温泉、山の神温泉、高倉山温泉、新鉛温泉があり、花巻温泉と台温泉は数軒の宿で瀬川沿いに温泉街を形成し、大沢温泉、鉛温泉、松倉温泉、志戸平温泉、渡り温泉、山の神温泉、高倉山温泉、新鉛温泉は豊沢川沿いにそれぞれ一軒宿が点在している。
おっと、台温泉にもどこか前から泊りたかった宿があったはず・・・。えーっと、確か中嶋旅館。温泉の評判はあまり聞かないけど、とにかく建物が凄かったはず。私の好きな古い木造の和風建築。あった、これだ。えーっ安いじゃん。
見つけた台温泉中嶋旅館は平日とはいえGW直前にしてはものすごく安価だった。二食付きでも8千円台。他の宿が高くふっかけていたり、高い部屋しか残っていなかったことを考えるとむしろ安くて心配になるレベル。
でもこれは大正解だった。
5泊6日のこの東北旅行で一番の宿と言って良かった。遠くてなかなか行かれないが、きっとまたリピートしたいと思うレベルだった。ここを見つけられたことが幸せだよ。