3月15日(土)
朝はまだ暗いうちに目覚めた。
子供たちが起きるとゆっくり朝風呂どころではないので、そうっと部屋を抜け出す。
廊下は冷え切っていて、外に通じる扉を開けると、さらに冷たい空気が頬を包む。
浴衣の背を丸めて露天風呂へ向かう。今朝は曇りのようだ。
昨夜入った右端の女湯露天へ。
まだ誰も来ていない。独り占めだ。
晴れた空の下の露天風呂もいいが、曇天の下、白と黒だけの墨絵のような景色もいい。熱い湯でしゃっきり目が覚めた。
女湯の隣は、大野天風呂となっている。チェックインしたときに仲居さんが「男性用露天風呂」と説明したので、昨日は入らなかったが、本当は混浴なのだろう。誰もいなかったらちょっと入ってみようかなと思ったが、残念ながら私が女湯から上がったときには、早起きの男性が一人、既に入浴中だった。
まあ、女性用露天風呂と景色はほとんど変わらないし、大きさもそんなには違わない。お湯が違うとか、足元から湧いているとか、他に家族で入れるお風呂がないとかであれば入ったと思うが、まあいいか。
部屋に戻るとパパが起きた。入れ替わりにパパも露天風呂へ向かう。
これで朝風呂タイムは終わりかと思いきや、パパが戻ってくると子供たちも目覚めて、お風呂に連れて行けと言う。
今朝はカナの希望により、泡の貸切露天風呂。
ほら川がよく見えるよ。岩の上には雪も沢山積もっているね。
朝食は広間で。
一番吃驚したのは納豆。一人用のカップ入り納豆が付くことは多いが、ここは一人に普通サイズの一パックが付く。しかも「平家納豆」。流石は平家落人の郷。
この蝶の紋は以前、加仁湯に泊まったときも見かけた。加仁湯は川俣の更に奥。奥鬼怒四湯のひとつだ。平家の御紋なのか。
ロビーの窓から見下ろした鬼怒川。
手前に露天風呂脱衣所の屋根が見えている。
川俣一柳閣では本当にお風呂三昧だった。こんなに一つの宿の温泉にばかり入っていたのは夏休みの
青荷以来か。温泉好きな割りにあまり温泉宿に泊まる機会が無いが、たまに泊まると、こんな風に夜に朝に入れて嬉しい。
今日の予定は苺狩り。
昨日の四季の湯まで戻って、栗山ふる里農産物直売所に寄る。山の中なのであまり野菜などは無い。新鮮な野菜を求めて矢板まで行くことにする。
東北道の矢板IC手前に城の湯温泉センターという、温泉と農産物直売所の両方が揃っているところがある。でも時間が無いので今回は、買い物だけ。
目の前に温泉があるのになぁ…残念。
さて、予約を入れたJA安佐の苺狩り農園「いちご畑」から、三日ほど前に電話が入った。予約日に近くで大型アウトレットモールがオープンするので渋滞が予想される。迂回路を通ってきた方が良いというものだった。
いちご畑は佐野藤岡ICからすぐなのだが、渋滞を避けるため、一つ手前の栃木ICで降りることにした。
下道を行くと、結構時間がかかる。
高速に乗ってすぐレナが、さらに農園のすぐ手前でカナも寝入ってしまった。
子供たちが寝ている間に、大人だけ苺狩りする?
そんなわけにはいかないよね。
「苺狩りだよ」の一言で、カナもレナも目覚めた。しかも機嫌よく。
ここは3年前にオープンした。オープンした年から、三年間通っている。
ここの苺は甘くて美味しい。大きくて瑞々しい。これを食べてしまうともう酸っぱい苺は食べられない(笑)。
渡されたコップは、コンデンスミルク入れではなく顎や軸を入れるもの。ミルクなどは出してくれないが、ミルクなどいらないのだ。
レナはこのおっきいやつね。
あむっ。
うん、なかなかいける。
制限時間は30分だが、30分もあればおなかいっぱい食べられる。
というか、手当たりしだい食べていると、制限時間前にだいたいギブアップだ。大きい形の悪い苺は大味かと思えば、いやいや小さいのよりずっと甘かったりする。
やっぱり春は苺だね。また来年も苺狩りに出かけようね。
去年は苺狩りのあと、佐野厄除け大師にお参りに行った。今年もその予定だったけど、何だか苺狩りで十分という気になっていた。
今日はこれで帰ろうか。
佐野藤岡ICまで来ると、新しいアウトレットモールの建物と、駐車場待ちでぎっしり連なる車を見た。やっぱり迂回路を通って正解。何も知らずに佐野藤岡で降りていたら、渋滞嫌いのパパは、二度と佐野に苺狩りなんて行かないって言っていただろう。
春の旅はいつも雪の残る温泉宿と、栃乙女の甘い香りで始まる。
次の季節にもまた、新しい何かが待っている。
おしまい