子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ 貸切露天風呂が特にぬるく赤ちゃん向け、泉質も刺激なし
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ 予約不要貸切露天風呂(日帰利用可能)が三つありベビー連れにグッド
子連れ家族のための温泉ポイント
栃木県の栗山村には平家の落人伝説が伝わる。最も有名なのは山を隔てた湯西川だが、鬼怒川の上流、ここ川俣もまた、源氏に追われた平氏が落ち延びたと言われる。事実、川俣湖のほとりには、平家塚という落人 平藤房が宝物や武具を埋めたとされる塚が有り、みだりに足を踏み入れると足が腐るとされた。
その平藤房の子孫、平藤四郎が発見したのが川俣温泉だそうだ。
会津西街道を川治温泉で鬼怒川に沿って西へ折れ、景勝地 瀬戸合峡を過ぎて川俣湖の更に先、渓流沿いに温泉旅館が点在している。
川俣一柳閣は、川俣温泉の最奥にある。本館の三水館と、新設した三雅館とあり、ロビーは最上階で、建物は渓谷に沿って下へ下へと伸びている。全ての客室から鬼怒川が見えるように。
さて、ここは男女別内湯のほか、混浴露天風呂、女性用露天風呂、三つの貸切露天風呂がある。
その全てが渓流沿いに有り、美しい鬼怒川の流れを楽しみながら入ることができる。訪れたのが3月だったので素晴らしいモノトーンの雪見風呂が待っていた。別の季節であればさぞや新緑や紅葉が綺麗だろう。
混浴露天風呂と女性用露天風呂はほぼ同じつくりで岩風呂だ。少し男性用の方が大きいようだが、不公平を感じるほどには違わない。両方とも岩風呂の隣に檜風呂もあったが、冬場は使用しないらしく残念ながらブルーシートがかかっていた。
岩風呂の湯は熱め。あまり小さいお子さん向けではないかもしれない。赤ちゃん連れなら貸切露天風呂が何よりお勧め。
貸切の露天風呂は、檜風呂、泡風呂、洞窟風の画像 本来は打たせ湯の浴槽らしいがこのときは打たせ湯が出ていなかった)とあり、予約不要で空いていたらいつでも使用できる。この気軽さがいい。一応、後の人のことを考えて、30分で上がるようにとの張り紙がある。
プライベートに使えるように左右が仕切ってあるので、見たときはどれも狭く小さく見えたが、実際に入ってみると、思いのほかどの浴槽も大きいことに気づく。カップルで貸切はもちろんのこと、4人家族ぐらいなら、全員でのんびり入れる大きさだ。
お湯の温度も貸切は三つとも温めで、特に洞窟風の湯が温い。ここは深さも浅く、貸切の中では一番広いので、家族連れには使い勝手が良いかもしれない。
ちなみに一番渓流の眺めが良いのは、泡風呂。岩の低くなっているところから見下ろすと、鬼怒川を独占している気分が味わえる。
檜風呂は浴槽の雰囲気が良いので、これはこれでとても気持ちが良い。
お湯はその日の昼間に入った栗山温泉 四季の湯ほどはっきりした個性は無いが、無色透明。淡い昆布臭のする出汁系の湯だ。味も昆布出汁の味で、塩味などはほとんど感じられない。少しきしつく感じがある。ちなみに露天風呂では湯の花はほとんど見られないが、内湯では虫のように巨大化した赤茶色の湯の花がたまにゆらゆらしていた。
ここの宿は夕食は部屋食でこそ無かったが、大広間でもちゃんと客ごとに仕切った部屋を用意してくれて、子供づれには助かった。それでもまだ、子供たちが騒がないかと冷や冷やしながらの食事はもうひとつ食べた気がしないのが残念だ。
子供たちが寝静まった後、ようやく一人でのんびり露天風呂に行くことが出来た。
夕食後は浴衣姿のグループ連れが露天風呂の周りを逍遥していたが、今はひっそりとして人影は無い。川のせせらぎだけが響いている。
掛け湯をして足を入れると、じんとしびれるような熱さ。誰もいない浴槽に広々と手足を伸ばす。温い湯もいいけど、熱い湯も好きだ。岩の縁に歩み寄れば、ここからの鬼怒川の流れは素晴らしい。小さな瀬があり男性用の露天風呂より眺めが良いかもしれない。
ふと見上げればひときわ明るい惑星を従えて天空に浮かぶは、少し欠けた柔らかな春の朧月。