個室は二階で、踊子草と桜草という二部屋を繋げてもらった。
メニューを見ていたら紺碧さんも追いついてきた。
しらやきが美味しいよねぇ、上の大で、温泉で作った豆腐が食べたい、いろいろみんなで迷いながら注文を決めた。
ウナギを焼くのは時間がかかるので、パパはさっさとお風呂に行ってしまった。
紺碧さんは車から温泉のガイドブックなど持ってきてくれたが、残念ながら日帰り温泉の情報ばかり。
yuko_nekoさんが気になるところを見つけた。
南アルプス市営の、
南アルプス温泉ロッジ。
「ここ、公営だから安いし、いつも空いているのよ」と流石、宿情報に詳しい。
「だけどいつも空いているっていうのも不安でさ、いいところなのか、悪いところなのか」
と、とりあえず聞いてみるか? 空きだけでも。
yuko_nekoさんが携帯を出した。
「はい・・・もしもし・・・・」
ひととおり話をして、受話器を押さえてこちらを向く。
「2食付きで大人一人7,000円、小学生5,700円。部屋はあるって。公営だから何人で泊まっても一人料金は変わらないみたい」
お風呂から戻ってきたパパが離れたところで腕で丸を作った。
「はい、じゃあ大人四人、小学生二人、幼稚園児一人です。二部屋希望です」
い、いいのー?
がっちゃん仕事が忙しくて最初から2泊はできないんじゃなかったっけ?
でもがっちゃんはちび姫ちゃんにもう一泊すると宣言してしまった。
これは決まりということだ。
一人っ子のちび姫ちゃんはもう今夜もカナと離れるつもりはないらしい。
し、しかし、我が家だけもう一泊するつもりがあれよあれよと言う間に・・・。
ちょうどそこへ晶ちゃんとだださんもお風呂から戻ってきた。
「私たち、もう一泊することにしたんだけど、晶ちゃんたちはどうする?」
「一泊7,000円で安いしまだ空きが有るみたいだよ」
「楽しそうだから行っちゃおうかな」
・・・あれよあれよあれよあれよと言う間に、元々今日は帰る予定だった紺碧七さん以外の全員が、このまま初花から南アルプス温泉ロッジになだれ込むことになってしまった。
なんという行き当たりばったりな展開。
みんな、いいのかー?
本当にそれでいいのかー?