そろそろ11時も近づき、多くの温泉施設が立ち寄り可能時間を迎え、温泉ふるまいを求めるお客さんもばらけはじめる時間帯になる。
私たちは元湯に向かった。
理由はふるまい湯ではなく、神事の見学の為。
塩原温泉古式湯まつりは
と、なっている。
もともとこの古式湯まつりというのは、万治2(1659)年に山津波の災害で土砂に飲まれて失われた源泉が、温泉神社にささげた村人の祈りにより再び湧出したという故事に基づいて行われているものであり、元湯の源泉を汲み、各エリアごとに分湯する儀式が中心になる。
11時前に元湯に移動していれば最初の湯汲み式が見られるに違いない。
10時半過ぎに元湯に着いた。
この辺りは少しだけ紅葉が始まっている。川沿いの木々の一部は赤く色づいて、秋の訪れを告げているようだ。
まだ人は集まっていない。紅白の布を垂らしたテントの下に祭壇が作られ、近くでは「奥塩原温泉かけ流しの会」や「とちぎにごり湯の会」と白く染め抜かれた紺の法被を着た旅館関係者が準備をしている。