草津を離れると車窓の景色から雪が消えた。
平野まで降りると今までの真っ白な雪景色が嘘のように空は晴れているし地面も乾いている。
もうこれで今回の旅行の温泉は終わりだろうと思っていので、「takayamaさんが言っていたけど草津の後はナントカ珪酸のお湯に入ると保湿効果があるんだって。だからもう一ヶ所だけ帰りにどこか入っていっていいよ」とパパが言ったときには思わずやったーと思った。
草津の仕上げ湯ってとこだよねぇ。
草津の仕上げは昔から四万温泉か沢渡温泉か川原湯温泉と相場が決まっているけれど、あいにくと四万温泉は一昨日泊まったし、沢渡温泉は昨日寄ったし、川原湯温泉も夏に移転した共同浴場の王湯に入ったなぁ。
まあこの中なら今回の旅行で寄っていない川原湯か。でも王湯は行ったから川原湯で別の施設は無いか調べてみようっと。
川原湯温泉は移転前は王湯の他にも聖天様露天風呂とか日帰りのお風呂があったが、随分前に閉鎖になったはず。
旅館もどこが移転してどこが移転しなかったのか、あるいは今営業しているのか、川原湯温泉協会の公式サイトを見てもよくわからない。
一応「旅館ガイド」っていう頁はあるんだが、のきなみ「休業中」のアイコンを貼ってある。貼ってないのは山木館とゆうあいという二軒だけだが、ゆうあいの方はそこからリンクが貼ってある旅館のサイトへ飛ぼうとするとエラーの「Not Found」が表示されるばかり。
ということは、選択肢は山木館しか残されていない。
そこで車の中から山木館に電話をしてみたが、残念ながら立ち寄り入浴は行っていないとのことだった。
うーんうーん・・・。
はっ、そういえば一郷一会のみんなは昨日私たちと別れた後、昭和温泉に入って帰る計画になっていたっけ(結局後から聞いたら寄らなかったみたいだが)。
方面的には遠回りになるが、ここはまだ行ったことが無い。
しかし昭和温泉の営業案内を調べたところ、これまた残念なことに月曜定休だった。
今日、月曜日じゃーん。
何だか次々希望がつぶされていく。
別に草津から関越道に乗るまでの道にいくらでも温泉はあるのだ。
ただ、せっかくだからまだ入ったことの無いところ・・・と思うと、意外と無い。榛名湖に通っていたころ、近隣の温泉は随分と回ったからなぁ。
「あそこはどうだろう」
パパが提案したのは奥平温泉遊神館だった。
「前にtakayamaさんが連れて行ってくれたとこ、ほら、ナマズの唐揚げ食べたじゃん。わりとあそこ好きなんだよ」
でも私はあそこは施設はいいけどお湯があんまり好みじゃなかった。行ったのは随分前だから、今行けば評価は違うかもしれないけど。
でもでも、遊神館でもいいってことは、
「渋川伊香保方面に降りるんじゃなくて、日本ロマンチック街道を直進して高山村方面に行くのも有りなのね?」
「そこまでは許す」
よしっ。ちょっと選択範囲が広がったぞ。このルート上でまだ寄ったことが無い温泉・・・。
大塚温泉を見つけた。定休日も問題ない。
そういえばここ、何で今まで入ってなかったんだっけ?
と思ったら、ぬるいお湯だったんだ。ぬるくて混浴で一晩中入っているようなタイプの温泉だった。
「ぬるい温泉・・・駄目だよね?」
「却下」
だよね。パパは熱い湯が好きだし、今は冬だし。
そう思っていつも大塚温泉には寄れずにいたんだ。なにしろ榛名湖に通っていた当時から、群馬に来るときの大半が冬だったからな。
じゃあねぇ・・・とスマホの地図をスクロールする。
「あっ、途中に道の駅がある。群馬の道の駅は絶対温泉付きだ(偏見)。この道の駅、名前に記憶が無いからきっと寄ったことが無いはずだ。ここにしよう。そうしよう。決めた」
で、決まった最後の行き先は道の駅 中山盆地。