共同浴場の凪の湯は判りにくい場所にある。
前に行ったとき、困るほどには迷わなかったが、こんな場所にあったら地図見ても判らないなと思うくらいの難易度の高さだった。
遊歩道を抜けたところで例の饅頭屋の試食攻撃にあう。正直うんざりする。
この饅頭屋の右手にある小路を覗き込めば、真正面が凪の湯。飲み屋などの裏手にひっそりとある感じ。
左右対称の三角屋根の建物はそんなに背が高く見えないが、浴室は狭い階段を降りた地下にある。
先客はいないようだ。
何しろ雪の吹き込んだ階段に足跡が無い。
地下にあるので脱衣所は湿気て薄暗い雰囲気がある。
年季の入った木の脱衣棚があるが、そこに置かれている脱衣籠を見て目が点になった。
一つ目はよくあるプラスチック製の籠。派手なピンク色をしている。
二つ目は少し痛んでいるが籐の籠。これも温泉らしい。
問題は三つ目。どこか見覚えはあるが違和感のあるこれはなんだ?
サイズは脱衣棚にぴったり。他の二つとほぼ同じ大きさ。
金属のワイヤー製の籠で、一部ワイヤーがカーブになっていたり、足の部分がついていたりする。
・・・これって、どう見ても食器を洗ったときに使う水切り籠。
誰が持ち寄ったんだろう。妙にサイズがぴったりなこともあってとっても可笑しくなった。