3.メロディーラインいつも何度でも
平日出発だし、特に何か昼間の予定を入れているわけでもなかったので、のんびり8時過ぎに関越に乗る。
空はよく晴れている。
あまりにも知り尽くした道。
ここ数年は子どもたちの受験からあまり出かけられなかったし、その前も新潟に行くことが増えていたが、そのもっと前、足しげく榛名湖へと通ったあのころを思い出しながら渋川伊香保ICで関越道を降り、一路四万温泉へ。
見慣れた吾妻川沿いの道沿いは青々とした稲の葉が風に揺れる。
夏の強い日差しが日向と日影に強いコントラストを作る。
今回の旅行が実現した陰には、車を買い換えたばかりのパパがその新しい車で長距離を走ってみたかったというのもある。
車高が低くなり、今までと違う目線の位置にまだ慣れない。
さて、353号線を走って四万温泉が近づいてくると道の脇に「メロディーライン いつも何度でも」という表示板が立っているのが見えた。
メロディーラインって何?と二人で口に出したとたん、車からあの千と千尋の神隠しのテーマ曲である「いつも何度でも」のメロディーが聞こえはじめた。
こ、これ、なに?
いつぞや道路の凹凸で三三七拍子が聞こえるところがあったけれども、それがもっと進化したような?
実はこれ、メロディーロードと言って、車両走行時に発生する舗装とタイヤとの接触走行音が曲になるように加工された道路のことらしい。
本当にそれっぽく聞こえるよ。すごい笑える技術だ。
しかも一曲終えたら「メロディーライン 終わり」とかいう表示板が立っていて、余韻も無く唐突に終わってしまうのも何とも言えない。
「いつも何度でも」かぁ。
これから行く四万温泉には千と千尋の舞台モデルとも言われる
積善館があるからなぁ。
しかも今夜泊まるその積善館にはカオナシが出没するというし。
なんか夏休みっぽくなってきた。子どもはいない大人旅だけど。