お風呂から上がるともう12時半を過ぎていた。
お腹は空いているけどあんまりがっちりと食べたいという気分ではない。
四万たむらの朝食バイキングをお腹一杯食べてきたからかも。
くつろぎの湯の隣には同じ応徳温泉を引く花まめという小綺麗な旅館が建っている。
そしてさらに隣には道の駅六合の施設。花まめは道の駅六合が運営する宿なのだ。
古民家を移築したらしい女性受けしそうな瀟洒な作りで、泊まったことがあるよとyuko_nekoさんが言った。日帰り入浴は受け付けていないが1万円未満で泊まれるそうだ。
道の駅で何か食べられるかなとみんなは坂を上り始めたが、そうだ、ここまで来たらいっそのこと野反ライン山口という手もあるぞと私は思った。
「イノシシ焼き肉が美味しい店があるよ。道の駅の隣」
みんなは、焼き肉ほどヘビーなものを食べたい気分じゃないんだよなと口々に言う。
とりあえず店だけでも見てみようとみんなでつらつらと歩き始めると、何と空から何かがぱらぱらと落ちてくる。
「天気雨かしら」
日は射しているのに。
慌てて私たちは野反ライン山口の軒下に入った。柱に「千客万来」と書かれた古びた紙が貼ってあり、そこに細面のキツネの顔が描かれていて笑ってしまった。天気雨はキツネの嫁入りと言うものなぁ。