子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ お湯は適温、泉質も特に問題なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★☆☆☆☆ 畳にこたつの休憩室あり
子連れ家族のための温泉ポイント
六合村の六合は、「くに」と読む。
入山、小雨、太子、日影、赤岩、生須の六つの字名を合わせてひとつの村としている。
道の駅六合の敷地にくつろぎの湯という日帰り温泉施設がある。
正式には「六合村高齢者センター」だったらしいのだが、外看板のその「高齢者」の文字の上に何かシールを貼って半分剥がれた形跡があり、今でも「高齢者センター」と呼ぶのが正しいのかいまひとつ判らない。
でも、建物の中をちょっとのぞくと、確かに何となく「日帰り温泉」ではなく「高齢者センター」と言うのがしっくりくるような、そんな雰囲気が漂っている。
隣に建つ同じ応徳温泉の小洒落た旅館 花まめとはえらい違いだ。
スリッパに履き替えて中に入ると、どの辺が高齢者センターらしいと感じるのかようやく判った。どことなく作りが病院っぽいのだ。
でもその割に、畳の休憩室を覗くとそこには炬燵がよっついつつ置いてあったりする。
一般的な日帰り温泉の休憩室と言えば細長いテーブルだ。
それが「こたつ」。
炬燵掛けもそれぞれ統一感無くまちまちで、置いてある位置も等間隔ではなく適当。いかにも地元の年輩者が一日のんびりするのに重宝する場所という感じで思わず笑みがこぼれてしまう。
面白いなぁ、この雰囲気。
生活感にみちみちている。
応徳温泉と言えば、黒い湯の花が有名だ。
でもその他にはどんな先入観も持っていなかった。
二、三年前に改築したと聞いていた割に古びた浴室。どうやら作り替えたのは壁などの部分だけで浴槽のタイルなどはそのままらしい。
横に長い浴槽は綺麗に白濁していて、硫黄の臭いがする。
ああそれも、平地の温泉などでもときどき嗅げる柔らかいゆで卵風の臭いなどではなく、もっと荒々しい山の温泉でしか嗅げない硫黄の臭い。どこか金属っぽさのあるこの山の温泉の臭いが好きで、まさかここでこんな臭いが嗅げると思わなかった分思いがけない嬉しさだった。
さらさらと手触りも良い。
先々月に回った信州高山温泉郷などでは贅沢なくらいこういう温泉があったけれど、六合村にもあったのか。
湯の花は白いものと黒いものと。
色ははっきりしているが形は小さく消しゴムかすぐらいのサイズ。逆に小さい分、ゴミと間違える人がいそうだ。
温度は程良い温度。
きもち熱めぐらいで、ここのお湯の個性とよく合っている。
手すりの所に何か結びつけてあってそれがお湯の中にゆらゆら浮いている。木の板か何かかと思ったら、温度計だった。
本当のところ、ここのお湯はすっかり気に入ってしまって、時間が許すならもっともっと入っていたいところだった。
お湯ももっとゆっくりしていきなよと言っている気がする。
でも友人たちも上がってしまったし、昼間からお風呂に入りたくないと言った子どもたちも車で待っているはず。そろそろ上がらなくちゃね。
温まり度は先ほどまで滞在していた四万温泉には敵わずさあっと汗が引く。
また近くを通ったら立ち寄りたい。そんな風に思う温泉だった。