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◆紅葉の湯田中渋温泉郷 湯けぶりウォーク◆2-24


24.貸切で大はしゃぎ

 部屋に戻ると、パパは「子供たちはとーってもいい子だったよ」と教えてくれた。
 「どうもありがと」
 安代館はロビー横の部屋に子供向け大人向け取り混ぜて、漫画の本が大量に置いてある。どうぞお部屋で自由にお読み下さいというしくみだ。
 パパは早速昨日から「美味しんぼ」を何冊か持ち込んでいた。
 炬燵の部屋でぬくぬく漫画を読んでごろごろ。好きなときに温泉にも入れるし、「子供たちの面倒を見て、たーいへんだったぞ」と言ってるけど、もしかして結構極楽だったんじゃない?
 それとも12キロ歩いて11湯の温泉に入りまくる方がいい?

 今夜の泊まり客は我が家だけ。
 夕食は布団を敷きっぱなしのお部屋ではなく大広間で取ることになった。
 そう、布団は敷きっぱなしだったのだが、部屋が広いので困らない。むしろいつでも寝られていいって感じ。
 大広間は昨夜は別のグループが貸し切り、カラオケなど響いていた。
 そういえば若女将さんは嶽心荘での夕食ができなかったことを気に病んで、かわりに今日の夕食はカラオケ歌い放題にしてくれた。
 「いや、うちはカラオケなんて歌いませんけど・・・」
 「お子さんたち、きっとマイクを離さないわよ」
 な、なるほど・・・。

 広間にぽつねんと私たち一家の分の卓が出ていた。
 若女将さんは、今日は貸切だからいくら走り回っても良いわよと言って下さる。
 だからといってキミタチ、食卓の周りを喜んで飛び跳ねるのはよしてくれる?
 夕食は相変わらずとりとめのないメニューだったが、本当に食べる人のことを考えて作ってくれたことがよく判った。
 ちょっと作り過ぎちゃったわと若女将さんが言うとおり、鍋あり、馬刺あり、山菜料理やきのこ料理もありの盛りだくさんだ。
 子供たちはあまり食べないので食事無しで頼んでいるのだが、子供でも食べやすいもの、食べたがるだろうものをちゃんと揃えてくれている。しかも美味しいのだ。
 昨日のりんご牛ほどじゃないけどと言って、ハーフサイズのステーキもつけてくれた。これは子供たちにほとんど取られてしまった。
 カナはカラオケが気になって仕方ない。もちろん未体験なので。
 音痴の私は聞いているのが家族だけでも歌いたいとは思わないけど、実はパパもかなり歌いたかったらしい。
 カナはご飯を一杯だけかきこむと、早速興味津々でマイクを握った。


上 大広間にぽつねんと我が家の分の食事が用意されていた

下 オプションではないのに今日もハーフサイズのステーキをつけてくれた 上 食前酒も毎回いろいろ考えて出してくれる

下 鍋もあって、本当におなかいっぱい。ごちそうさま。


 うーん・・・でもカナやレナの歌える歌は無いんじゃないの?
 二人はハム太郎のとっとこ歌が歌いたいって言ってるけど・・・。
 パパがやっと子供の歌えそうな歌をひとつ見つけた。
 おどるポンポコリン。
 しかしマイクを握ったものの最初は照れて歌えない。そんな子供たちに業を煮やしてパパが出ていった。
 パパがしまいには子供たちのマイクを奪って歌い始める。と、すぐさまレナのブーイング。
 次々パパが自分の歌を入れるので、歌っている横で音楽もないのにハム太郎の歌をがなりたてる子供たち。
 あーあ、めちゃくちゃだね。
 なんとかレナが運動会で練習した「世界でひとつだけの花」や、カナが音楽の時間に習った「翼をください」などを歌って、終わりにした。
 部屋に戻ろうとしたら、歌ったらお腹が空いたのか、「ちょっと待って」と言ってカナは一人で茶碗にご飯をよそい、もう一杯食べていた。 


初めてのカラオケ体験はいかが? マイクを握ったらはなさない?




2-25.浴衣に下駄でカランコロンへ続く


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