19.七番湯 七操の湯
やがて
七番湯、七操(ななくり)の湯が見えてくる。確かこの源泉は高薬師から温泉寺に向かう御利益散歩道沿いにあった。
七つの病に効くのか、七回入浴すれば効くのか語源はよく判らないらしい。外傷性の障害や病気の回復によく効くという。障害や回復ということから七回の方が正しいような気がする。どちらも一発で効くような内容ではないからだ。
ストリートが変わると同時に、お湯もぱったりと様相を変える。
七操の湯は今までの外湯の湯にはまったく似ていない。
無色透明で、消しゴムかすみたいな巨大湯の花が沢山うようよしている。
金気臭もするが、やっぱり今までのお湯とは違う種類の金属みたいな感じだ。
入り口に「七操の湯は非常に鉄分が多いため、赤い湯花が生じます」と張り紙があったが、ほとんど白い湯の花ばかりだ。
意識して探すとようやく赤いものもちらほらと見つかった。
浴槽は大きめで水色の細かいタイル張り。縁は黒御影石でできている。
ここに入っていたおばさま方は、熱い熱いと悲鳴を上げていた。どこそこの湯はもっと熱かったと一人が言うと、ひえー、これ以上は入れないと声を挙げて驚いていた。
そんなに熱くはないと思うぞ。