大沢山温泉幽谷荘は入れなかった思い出がある。
今から10年前の(もうそんなになるのか!?)2005年、松代からの帰り道、幽谷荘に入ろうと思って大沢山に寄ったところ、近くのラーメン屋で幽谷荘の場所を聞いたらまさに幽谷荘のご主人がラーメンを食べに来ていて、「今日は日帰りはお休みだよ」と。
その時はご主人に高七城を勧めてもらってそこに入って帰ったんだけど、既にその高七城も里山十帖という自由人プロデュースのお洒落な宿に生まれ変わって立ち寄りも受け入れ無くなっちゃって、前々から同じく大沢山温泉の大沢館は立ち寄り不可だし、今は大沢山で気軽に寄れるのは幽谷荘ぐらいになってしまった。
とにかくそのとき入り損ねた幽谷荘だ。
今回やっと入れそう。
川沿いのゆるく蛇行する道の右側に幽谷荘と壁に看板を張り付けた民家が建っている。
あの民家がそうなのかなと思っていると、横を里山十帖の送迎マイクロバスが追い越して行った。
幽谷荘はその民家ではなく民家の隣の木造の建物だった。
道から見えていた民家と比べれば旅館らしい雰囲気だが、マイクロバスの里山十帖や、秘湯を守る会の大沢館の規模と比較すれば本当に小ぢんまりとしている。
すぐに女将さんが出迎えてくれた。
私以外はもうほとんど幽谷荘を知っているみたい。
お風呂はだいたいイメージしていた通りでそんなに広くは無い。
隅の湯口のところだけ岩を汲んであるが、浴槽から床から壁は天井のところまで全部シンプルなタイル張りで、正面のはめ込み窓から外の緑が見えても、少々圧迫感を感じる。
お湯はすっきりと無色透明。
入るとぬるぬるするオイルみたいな手触り。
にゅるるんというよりぬるぬる。でも思っていたよりは弱いかも。もしかして鮮度が良すぎたりするとぬるぬる具合が弱まるとか?
でも本当にこの手触りはくせになる。うーんと疲れた手足を伸ばして、それからだらんと力を抜いて、そしてゆるゆると手触りを楽しむ。
ああもうこれで今回の旅も終わりかぁ。
温度は気持ちぬるめ。
ここもさっきの屋敷温泉のように水とお湯のバルブがあって、自由に調節できるようになっている。
あやさんやえんぴつさんと、和むよねぇ、このお湯は、とか好き勝手なことを言う。
ずしーん、どしーんと重たいお湯じゃなくて、大沢山でするする美肌になって締めるのはいいな。