女湯は誰もいないので電気のスイッチを探すのにちょっと手間取った。
脱衣所は狭かったが、浴室はそうでもなかった。
男湯は浴槽が二つあったと聞いていたが、女湯は一つ。
とても湯口が特徴的で、おかっぱ頭の少女が座ってお湯の出る瓶を持っている。
少女の表情はいわゆるアルカイックスマイルというやつで、夜に一人でお風呂に入ろうとして見るとドキッと怖い気もする。
湯口から出たお湯は、木の樋を通って何故か湯船には入らず、浴槽を半周してそのまま流しに吸い込まれていく。
じゃ、じゃあ湯船のお湯は!? というと、その樋からあふれた分だけが少量お風呂に落ちる。
なんでこんなに勿体ない使い方をしてるのと後でやませみさんに聞いてみたが、「熱すぎるからでしょ」とあっさり。
確かに樋の先に流れるお湯をちょっと踏んでみたら火傷するかと思った。
マッチのにおいは強いが、どちらかというと穏やかなお湯だった。
適量だけ使っている分、むしろ少しぬるめなぐらい。
無色透明で湯の花はほとんど見えない。
飲んだ後とかにあまりパンチの効いたお湯に入りたくなかったので、この癒し系のお湯はいいかも。
髪の毛も湯船の源泉を汲んでじゃばじゃば洗うと、温泉のにおいがほわ~っと漂って贅沢な気分になる。
宴会会場の懇談は、私がお風呂から上がった後も午前1時過ぎまでわいわいと続いた。