この後、温泉卵制作部隊と別れ、私と一緒に回っているメンバーは義満さんとのび太さんだけになっていた。
滝の湯へ行くか行かないかで迷ったが、結局行くことになった。
滝の湯は北東に一番離れた場所にあって坂を上らなくてはならないからだ。
ただし、中心地から少し離れている分、今行かないと、今回はもう行かないだろうという判断から行こうということになった。
私は滝の湯は特に好きな外湯の一つだ。
今までで入った野沢温泉の外湯で好きなところを挙げろと言われたら、真湯と滝の湯の二つを迷う。
かごしま荘やペンションマルトミの近くの石段を昇って遊歩道から麻釜に至る道に出ると、共同浴場にしては大きい真新しい建物が見えた。
義満さんが「あれが新しくできた日帰り温泉の「ふるさとの湯」だと教えてくれる。
ふるさとの湯の入り口前にも集印台があったが、肝心の集印帖にこの印を残す頁が無い。
施設の職員が出てきて悩んでいる私たちに、まだできたばかりの集印台なので集印帖に頁が無いけど、後ろにある予備の頁を使ってくださいと言った。
さらに坂を上ると麻釜(おがま)。
麻釜は野沢温泉最大の観光スポットと言ってよいかもしれない。
草津温泉で言えば湯畑のようなもの。ただしあれほど面積は広くないし、大型旅館に囲まれている立地でも無い。
大釜・丸釜・ゆで釜・竹のし釜・下釜といった源泉が並んで湧き、蓋をされている所もあるが、ぼこぼこと石の間から大きな泡が上がってくるのが見える湯だまりもある。
もちろん熱湯が湧いていて危険なので、生活に利用する地元の人は除き、観光客がみだりに立ち入らないように簡単な柵やチェーンで封じた入り口があるが、通りすがりにチェーンを乗り越えて入った不届き者がいたようで、「そこ、危険なのですぐに出てください」と係りの人に注意されている声が聞こえてきたりした。