夕食は今夜もオリジナリティ溢れるメニューで目にも舌にも楽しかった。
しかし小食な娘たちは食べきれない皿の方が多く、こちらが申し訳なく思ってしまうほどだった。
給仕に来た女将さんが明日の予定を聞いてきた。
パパはまだスキーにするか決めていないと返答した。
今日は一日がっちり滑ったし、明日の天気は今日以上に悪そうだ。
天気次第だが、スキーをする可能性は低いかもしれないと。
子供たちは私にどこに行ってきたのか聞き、白と黒の湯の花漂う緑色のお風呂に入ってきたと告げると、意外にも興味津津、ぜひ自分たちも連れて行けと言い出した。
「今夜?」
「うん、ダメ?」
いやダメじゃないけど・・・かなり遠いよ。
結局明日
滝の湯に子供たちを連れていく約束をした。
自分たちから歩いて遠くの外湯まで行くというのは珍しいので、ふうんと思った。どういう風の吹き回しだろうねぇ。
部屋に戻るとパパはテレビを日テレ系に回した。
子供たちに好きな「世界の果てまでイッテQ」を見せようと思ったらしい。
あ~っ。昨日のショートプログラムに続いて、今日はフィギュアスケート世界選手権2010のフリーを見ようと思ってたのに~。
「そんなつまらないもの見ないで、お風呂でも行ってきたら? せっかく
野沢温泉に泊ってるんだし」
そりゃあそうだが、いやいやつまらなくはない。確かにトリノで開かれた世界選手権はどうせ時差の関係で録画だし、今朝のニュースで浅田真央が金メダルを取ったことも知っちゃってるけど。
でも見たいよぅ。
フィギュアは確か8時半ぐらいから始まるんだったよね。イッテQは8時からの一時間番組だから9時には終わる、と。
フィギュアの初めの方はショートプログラム下位からスタートするはずだから、たぶんメインはイッテQが終わってからでも見られる・・・と自分を納得させようとしたところへ、「今日のイッテQはスペシャルだから3時間番組」とパパが奈落の底へ突き落す一言を口にした。
・・・。
しかもパパはそのイッテQを子供たちと一緒に見るでもなく、さっさと一人、先に寝てしまった。
最初のうちはぼんやりと珍獣ハンターイモトのアラスカ行きを子供たちと見ていた私だったが、そのうちやっぱりお風呂に行ってこようと思い立った。
せっかく野沢温泉に泊ってるんだし。
明日もチャンスはあるかもしれないけど無いかもしれないし。
子供たちはイモトの出番が終わったらチャンネルを変えてもいいよと言ってくれた。
うう、パパと違って優しいのう。
じゃ、ちょっとばかし、お風呂に行ってくる。