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子供と一緒に夏休み
**福島でLet's体験旅行**

11.鄙びた風呂に似合わぬ塩素臭











 内風呂は桧だった。
 後で判ったが、桧風呂と岩風呂とあって男女入れ替え制。このときは女湯が桧風呂だった。
 とても感じの良い浴室だ。綺麗でも新しくもないが、浴槽の縁だけでなく底も全て木造で、ちょっと年季の入ったところがまたいい味を出している。
 ところが入ってみて吃驚。
 なんじゃこりゃ。
 見た目の鄙び具合の入った素晴らしいお風呂のお湯が、強烈な塩素臭。
 プールみたいだよ。
 これが一昔前の清潔で広々とした公共センター系日帰り温泉だったら納得だけど、この佇まいにはなんとも似つかわしくない。
 がっかりした気持ちを抑えつつ、露天風呂にも入ってみることにした。
 露天風呂は内湯のドアを開けて出るようになっている。
 少し錆びかけた朱塗りの橋が架かっている。
 この橋も見る人によっては興醒めかもしれないが、私は気にならない。
 それより露天風呂のロケーションはまた素敵だった。
 お風呂は岩で小さいもので、2、3人でいっぱいだろう。男湯との境には木の壁があってランプがひとつ下がっている。
 囲いもなく森の中にあるようなお風呂だった。
 楓や山毛欅の木に囲まれて、緑一色の今もいいけれど、紅葉したらさぞやと思わせるロケーションだ。
 ・・・なのに。
 なのにやっぱりプールみたいに塩素臭い。
 がっかりだ。
 失望だ。
 かなりショックだ。
 もしかしたら清掃後で湯を貯める前に浴槽を消毒したとかで臭うだけなんじゃないかと思おうとしたが、湯口からも強烈に臭う。これは間違いなくお湯を供給する段階で大量に塩素薬剤を投入している。

 パンフレットには掛け流しとあったが、脱衣所にははっきりと、加水加温循環消毒していると明記されている。
 そりゃそうだけど・・・絶対塩素入れすぎ。
 あまりショックだったので早々に上がってしまった。


塩沢温泉湯川荘のお風呂。内風呂、露天風呂、ともにロケーションは非の打ち所が無いのだが













1-12山の夏の終わりにへ続く


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