23.お休み前の読み聞かせタイム
食後にまたお風呂に行っていいと言われたので、今度は明礬泉の方に行ってみることにした。
男湯の方も人けが無かったのでそっとのぞいてみると、女湯の倍以上の広さがあるようだった。
女湯の方は狭い。
でも一人で入るには十分すぎるほどのサイズだ。
無色透明に見えたが、入ってみると粉状の湯の花がうっすらと舞っていた。
臭いは浴室に入った瞬間は汚水のような臭いを感じたが、やはり硫黄の臭い。
適温。
階下の硫黄泉ほどのインパクトはないが、これもとても良い湯だ。
湯口の下に行くと、底に沢山湯の花が沈んでいた。
思わず嬉しくてすくってはお湯の中で舞わせてみる。
パンを焼くために粉をふるった後のように一面真っ白になった。
湯上がりは何故かどっかりと疲れて動けなくなる。
肌もべたべたする感じ。
爽快感を感じる下のお風呂とは対照的だ。
登らなくてはいけない階段はこっちの方が少ないのに、立ち上がるのに気合いがいるのはこちらのお風呂の方だった。
カナとレナは夢中で昼間の絵を描いていた。
ウサギと散歩しているところだ。
ウサギをレンタルしたのがよほど嬉しかったらしい。
思い出したように、「ウサギさん可愛かったねぇ」と何度も言っている。
天気が芳しくなかったが、那須どうぶつ王国まで足を延ばして良かった。
夕食に使わせてもらった食器を洗いに厨房へ行くと、
雲海閣の女将さんがいた。
年輩の品の良い女将さんで、私たちの受付などしてくれた従業員の女性と今夜の泊まり客の最終確認をしているらしい。
だれだれさんは夕食を食べてから来るからもう少しかかるらしいなどと話をしている。
厨房の片隅に置かれた黒板に、部屋の名前と泊まり客の名前が書かれている。
今夜の客は9組。
「今は全体の半分ぐらい-9部屋しか使っていないのよ」と、私たちに女将さん。
それじゃあ今夜は満室だ。
一週間前の急な電話だったけど、予約できて良かった。
ここは自炊もできるが、今夜の泊まり客はみんな外食をしたものか、厨房には他に客の出入りしている気配は無かった。
子供たちの就寝時間はいつもは9時だが、今日は8時過ぎに寝かせることにした。
カナなど大人と一緒に起きたのだから、4時半過ぎからずっと目を覚ましていることになる。
眠る前に読む本がある。
今のお気に入りは、ナルニア国物語の「ライオンと魔女」。
私はこれを今のカナと同じ小学二年生で読破していたが、カナは自分で読むのがあまり得意でなく、いくら言っても自分から本を読もうとしないので、仕方なく読んでやることにしたものだ。
面白いと思えばいずれ自分から読み出すようになるに違いない。
ナルニアは来春ディズニーが映画化するというので、お気に入りの本だけに映像で見てしまう前に文字で教えてやりたいと考えていた。
いつもは一晩で1章分を読むのだが、この日ばかりはレナが眠い眠いと言って章の半分ほどしか進められなかった。
「ビーバーさんのおうちの続きはまた明日。おやすみなさい」
狭い小部屋は子供二人の布団を敷いたらちょうどいっぱいだった。