さて、本日向かった先は
東鳴子温泉初音旅館。
ここは昨日屋代さんに案内してもらった
丸進別館と並び、益子さんお勧めの温泉宿だ。
その益子さんご本人は、今朝方早くにキャンプ場を発たれたようで今日はお会いすることができなかった。
小雨が降りだした中、どことなく薄暗い感じの木造旅館はまるで廃校になった学校の校舎みたいな感じだった。
ややとっつきにくい印象がある。
やっているんだかいないんだか判らない外観だ。
駐車場に車を停めてタオルを手に四人で降りると、どこからかきりっとした感じの背筋の伸びた女性が出てきた。
着物姿だ。たぶん初音旅館の女将さんだろう。
「日帰りでお風呂に入れていただきたいのですが・・・」
女将さんは歓迎よりは拒絶を感じさせる口調で、どうしてうちを選んだのですか?といったような言葉を口にした。
くららさんが益子さんの名前をあげた。その方の紹介で、ぜひとも初音旅館のお風呂にと思ってわざわざ来たのだと伝えた。
女将さんは益子さんの名前に心当たりが無さそうな表情を浮かべたが、それでも闇雲にここに来たのではなく、誰かの紹介では仕方ないと言わんばかりに、どうぞと玄関口へ案内してくれた。
「但しうちのお風呂は混浴ですよ。それでも宜しいのですか?」
くららさんがしまった、というような顔をした。
「そう言えば益子さんが混浴だって言ってたような・・・」
くららさんは混浴が苦手なのだ。
女将さんは何なら別のお風呂でもと仰ったが、そうすると源泉が違うらしい。どうしようかと顔を見合わせて、まあいざとなれば時間差でも入れるかと、結局そのまま案内してもらうことにした。