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鳴子温泉巡り旅

5.女王様になりたい











 温泉卵はいい感じに完成した。
 キャンプ場に戻ると、くららさん一家も起きてきた。うちのねぼすけレナもだ。子どもたちをトレーラーに泊めてもらえて本当に良かった。そして我が家のテントも屋根の下に居候させてもらえてラッキー。杉江家のどこでも別荘さまさまだ。
 デビさんが温泉卵を使ってホットサンドを作ってくれると言うので、二度目の朝ご飯を頂戴した。
 くららさんはデビさんにサンドイッチの具についてあれこれ注文を出していて、デビさんはにこやかに応対している。
 うーむ、くららさんは女王様のようだ。
 それも、家族にはどちらかというと世話焼きなのに飲み会になると俄然周りの男性を全て従えて女王様化してしまうyuko_nekoさんとは好対照。
 私も一度ぐらい女王様になってみたい。
 えっ? がらじゃないって?

 くららさんちの頼りになる長男はやとくんがやってきたこともあり、子どもたちははやとくんにお願いして大人四人で鳴子温泉に降りることにした。
 「二軒ぐらい回る? それなら着替えてくるよ」と、デビさんはいきなり粋な浴衣姿に。
 キャンプ場で浴衣姿。
 黒ハマーの運転席で浴衣姿。
 アンバランスでかっこいい。
 ほとんど有り得ない組み合わせだよ、それって。


益々天気が悪くなる吹上高原キャンプ場



 さて、本日向かった先は東鳴子温泉初音旅館
 ここは昨日屋代さんに案内してもらった丸進別館と並び、益子さんお勧めの温泉宿だ。
 その益子さんご本人は、今朝方早くにキャンプ場を発たれたようで今日はお会いすることができなかった。
 小雨が降りだした中、どことなく薄暗い感じの木造旅館はまるで廃校になった学校の校舎みたいな感じだった。
 ややとっつきにくい印象がある。
 やっているんだかいないんだか判らない外観だ。
 駐車場に車を停めてタオルを手に四人で降りると、どこからかきりっとした感じの背筋の伸びた女性が出てきた。
 着物姿だ。たぶん初音旅館の女将さんだろう。
 「日帰りでお風呂に入れていただきたいのですが・・・」
 女将さんは歓迎よりは拒絶を感じさせる口調で、どうしてうちを選んだのですか?といったような言葉を口にした。
 くららさんが益子さんの名前をあげた。その方の紹介で、ぜひとも初音旅館のお風呂にと思ってわざわざ来たのだと伝えた。
 女将さんは益子さんの名前に心当たりが無さそうな表情を浮かべたが、それでも闇雲にここに来たのではなく、誰かの紹介では仕方ないと言わんばかりに、どうぞと玄関口へ案内してくれた。
 「但しうちのお風呂は混浴ですよ。それでも宜しいのですか?」
 くららさんがしまった、というような顔をした。
 「そう言えば益子さんが混浴だって言ってたような・・・」
 くららさんは混浴が苦手なのだ。
 女将さんは何なら別のお風呂でもと仰ったが、そうすると源泉が違うらしい。どうしようかと顔を見合わせて、まあいざとなれば時間差でも入れるかと、結局そのまま案内してもらうことにした。




東鳴子温泉 初音旅館の外観




3-6初音旅館の混浴浴場と宿泊者専用浴場へ続く


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