◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記
9.横矢芳泉堂で降り出した雨
再び吉野のメインストリートに戻ると「お風呂だけでも御利用できます。
宝の家」という木の札が目に入った。
旅館のようだ。それほど規模が大きくは見えない。老舗のように見えるが明治大正のようなレトロな建物というほどではない。
しかし吉野山温泉阿吽の湯とあるので温泉らしい。
日帰り利用できる温泉を探していたのでこれはちょうどいい場所のような気がする。
宿で働く男性が出てきたので立ち寄り入浴できますか?と聞いてみると歓迎とのこと。11時半から3時ぐらいまでとのことなので、前向きに検討させてもらう。対応してくれた時の感じも良かった。
宝の家を過ぎてすぐに覚えのある名前の店を見つけた。
白地に黒文字で横矢芳泉堂って・・・昨日夕方にロープウェイの山上駅まで探しに行った和菓子屋じゃない。
ここにあったのかぁ。全然ロープウェイの駅から徒歩1分じゃないなぁ。きっと私がリストに打ち込むときにミスったのだ。
朝、泊まった桜山荘花屋の正面にあった御芳堂で葛の干菓子は買ったけど、せっかくだからここのも買ってみよう。軽くてコンパクトだし日持ちもする。
味見してみた干菓子は御芳堂のものより甘さが濃い。といってもしつこい甘さではなく品よくしっかりとした味付けだった。
店の軒下でお菓子を買っていると、ふいに雨が降り出した。
そこここで慌てて傘を開く音がする。
振り返ると結構雨脚が強い。思っていたより早く降り出してしまった。
一応荷物は送ってしまったとはいえ、一人一つずつ折りたたみ傘は持っている。
持ってはいるが、傘を差して軒を出るのも躊躇するような激しい雨だ。
横矢芳泉堂の店内の一角にお茶が飲めるようなテーブル席が一組あったので、お店の人がそこで座って雨が収まるまで待った方がいいよと案内してくれた。お店の方、いい人だー。
しかし雨は収まる気配が無かった。
椅子に座って眺めていたが、道路のコンクリに跳ね返る飛沫が見えるほどに激しい。これはもうあの吉水神社の横の細い道を通って吉野温泉元湯に行くのは無理だ。
それどころか朝、御芳堂の人が勧めてくれた吉野水分神社に行ったりバスで如意輪寺に行ったりするのも無理だ。たぶんすぐそこだろう竹林院まで昇るのすら躊躇する。そもそもまだ下千本以外桜も咲いていないし、この天気ならいつかまた再訪した方がいいかも。なんせバケツをひっくり返したような豪雨だ。