■□■赤倉温泉子連れスキー■□■

1.朝風呂で思い出す昨夜の顛末

　赤倉温泉の和泉屋旅館には歴史がある。
　元々は赤倉温泉で最も古く格式ある老舗旅館として栄えていたようだが、第二次世界大戦で後継者を失ってしまったこと、また火災で元々の旅館棟を焼失して仮普請の建物を現在も使っていることなどから、今の姿での営業を続けて行かざるを得なくなっているという。
[ihisakiさんのブログより]

　確かにどこかレトロで旧式な赤倉の温泉街においても、和泉屋は飛び抜けて地味で慎ましい。
　館内も古く、食事にも垢抜けたところがない。
　けれど、今までに泊まってきた宿の中でも、心に残る宿の一つであったことは確かだ。
　とても居心地の良い宿だと思う。
　それにここの温泉はお勧めできる。
　私たちはまたここに泊まりに来たいと思っている。

　「ほら、ママと朝風呂に行くんだろ?」と子供たちにパパが言う。
　そうだった。
　昨夜、夜のお風呂はパパと、朝のお風呂はママとって約束したんだっけ。
　朝食まであと30分。
　急いで行ってこなくちゃ。
　のそのそと布団から身を起こすと、結露した窓の外が明るい。
　今日は待ちに待ったスキー日和だ。

　浴室は誰もいなかった。
　和泉屋のお風呂はずっとパパと入っていた子供たちは、「本当だ、女湯はひょうたん型だ」と興味津々。
　「男のお風呂はね、脱衣所にストーブがあるんだよ」とレナが教えてくれる。
　何?　それはずるいぞ。

　お風呂に来て、昨夜の顛末を思い出した。
　二度もくつろいでいるところ、いきなり浴室の電気を消されたのだ。
　二度とも、吃驚したのと怖かったので思いっきり悲鳴を上げてしまった。
　二度目に消した人は最初の人とは別の人で、謝りながら浴室に入ってきた。
　やはり泊まり客の一人で、浴室が薄暗かったので電気が消えていると思い、スイッチを入れるつもりで逆に消してしまったのだそうだ。
　ということは、おそらく一人目も同じパターンだったのだろう。
　それにしても、二度も電気を消される羽目になる私っていったい・・・。

　お湯は今朝も湯の花がいっぱいだ。
　ここのお風呂に入れるのはこれが最後かな。
　まあまた来ればいいかな。
　でもちょっと名残惜しい。