1.朝風呂と朝食
目覚ましを掛けた6時45分より早く、パパとカナは目を覚まし、テレビをつけた。
こちらも目は覚めているものの、布団から出る気にはなれない。
布団はぬくぬくだったが、部屋の気温は相当下がっていた。
外は雪だ。
昨日の昼から夜に掛けて低気圧が二つ通過することになっていた。
運が良ければ今日は雪が止んでいるかもしれないと思っていたが、残念ながら今日も新潟及び長野の北部は雪空のようだ。
天気予報は関東平野部は晴れていると告げていた。
パパは朝風呂に行って至福の表情で戻ってきた。
「体が冷えているから、お風呂に入ると気持ちいいよ。朝風呂行ってきたら?」
もちろん。
脱衣所も浴室も誰もいない。
朝の風呂場は湯気が籠もっていた。
ざぶざぶとお湯の流れる音だけが響いている。
硫黄の臭い。
掛け湯して入ると、昨日よりずっと多い湯の花がいっせいに舞い上がった。
中心が少し黒っぽくて周りの白い羽毛みたいな湯花だ。大きいものは大人の指ぐらいある。
のぼせると、湯船の縁に腰掛けてお湯をすくってはかけた。
本当にここのお風呂はあったまる。
今年の冬は電子レンジで温める湯たんぽが手放せなかった私だが、昨夜も寝る前にゆっくり温泉に入ったせいで、朝まで足が冷たくなることはなかった。
一泊だと朝風呂の後は朝食でチェックアウトと忙しないが、二泊できるとのんびりできる。