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■□■赤倉温泉子連れスキー■□■

9.赤倉温泉街、そして和泉屋旅館



 絶え間なく雪が降り続く赤倉の温泉街は、午後三時とは思えないほど薄暗かった。
 髪や肩に雪を乗せた若者が何人かスキーの荷物を持ってコンビニに吸い込まれていく。
 コンビニの向かいに酒屋があったので寄ってみることにした。
 日本酒やつまみを少々仕入れる。
 遠藤酒造場の美味求心ひやおろしに続いて今度は妙高酒造のふるさと妙高山など買ってみた。


午後三時とは思えないほど薄暗い赤倉温泉街 立ち寄った酒店


 泊まる和泉屋旅館の場所はすぐに判った。
 赤倉温泉で一番歴史があり、開業は江戸時代とのこと。
 しかし両側の旅館に比べても建物は小さく地味で、かなり古びている。
 玄関から道までのアプローチはすっかり雪が積もっていて、ここ何時間か誰も出入りした様子がない。
 「ごめんくださーい」
 ふかふかの雪を踏みしめて玄関に入ると、大人用のスリッパ二つと子供用スリッパ二つが綺麗に並べられていた。
 きっと私たち家族の分だろう。
 犬の吠える声が聞こえた。
 すぐに女将さんが出てきて、いらっしゃいませと迎えてくれた。
 「10時頃いらっしゃると伺っていたので心配しました」
 あれ? 何かの行き違いだろう。トクー!トラベル の申し込み画面ではチェックインは15時以降からしか選べないようになっていたのでそのまま送信したはずだ。
 でもとにかく、それで玄関前に雪が積もっていたわけが判った。午前中は雪かきをしておいたが、その後またどっさりと雪が降ってしまったのだ。
 まずは宿帳に記載するのかと思ったら、そのまますぐに部屋に案内してもらえた。
 あまりに宿泊料が安かったので、部屋も狭いのを覚悟していたが、けしてそんなことはなく、寒くないよう炬燵とファンヒーターも用意されていた。
 窓の外にはゲレンデが見える。本当にスキー場に近い宿だ。
 安い宿ではアメニティが何もついてこないところもあるが、クローゼットを開けるとちゃんと浴衣と半纏、手拭いや歯ブラシも準備されていた。お茶菓子はくるみゴーフレットだ。


質素な和泉屋旅館の外観 お部屋はなかなか居心地がよさそう




1-10.和泉屋旅館のお風呂へ続く


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