3.湯の丸ゲレンデ
既に駐車場から近い第四ゲレンデのリフトと第五ゲレンデのリフトは運休している。
初心者コースのある第二リフトまで少し歩く。
圧雪されてほとんど平らな道だが、カナはさっさと先に行くし、レナは重い板を扱いかねて何度も転んでいた。
リフト券は既にサヨナラシーズンと言うことで、子供は一日券が千円、大人は三千円、女性は木曜日のレディースディで二千円と割引になる。
いろいろ考えた末、子供二人分は一日券を、大人の分は回数券を買うことにした。
これは正解だった。ちょうど大人二人が一枚の回数券を使い切るくらいが我が家にはちょうど良かった。
薄日の射す天気の下、レナはパパと、カナはママとリフトに乗った。
雪の上に転々と動物の足跡が残っている。
カナが「リフトに乗るときはストックはこうするんだよ」と教えてくれる。
「こないだスクールの先生に教わったの?」
「うん、そう」
リフトの乗り降りも一人でできるようになってスクールさまさまだ。
そして一度目は恐る恐るという感じで三回転倒しながら下まで辿り着いたが、二度目にリフトで登ってからはすごかった。
恐がりカナとしては吃驚するような勢いでかっとんで行った。
速い速い。
とても追いつけない。
そう言えば自分はスキー板をはいたのは10年ぶりだった。
す、滑れないかも~。
レナはというと、やっぱりパパがつきっきり。
それでも時々緩斜面で手を離すと、ばびゅーんと滑っていってしまう。
「ハの字、ハの字~っ」とパパが追いかけていく。
どしゃーっと転んでようやく止まった。
「怖かった~」と言いながらも顔はにこにこ。