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本栖湖・浩庵キャンプ場便り
*水着で過ごす湖畔の休日3*

10.行けども行けども辿り着かず



 最後に受付のココアちゃんにバイバイと挨拶して、富士国際花園を後にした。
 次はプールの予定。
 新稲子温泉ユー・トリオ
 頼りはやはり「とら」の富士山麓ガイド。
 朝霧高原エリアの地図を見ながら車を進めるが、どうも地図の縮尺が適当らしく、パパがナビに入力した地点についてもまだ温泉施設は見つかりそうになかった。
 しばらく道を南下する。
 ようやく案内板を見つけた。
 それも温泉の看板ではなく青い道路標識にユートリオ右折となっている。
 表示があるので地図を畳んだ。
 もう案内板に従っていけば簡単に着くに違いない。
 ・・・と思ったのが落とし穴だった。
 次の表示の通りに左へ曲がったところが、行けども行けども・・・。
 「うわっ」
 道の真ん中に紐のようなものが落ちていて、何か動物の死体か!?と思ったら、いきなり鎌首をもたげた。
 うわぁぁ、蛇が横断中だった。
 向こうも吃驚したらしく、ターンして林の中へ逃げていった。
 あたりは里山で、民家もちらほらとあるが棚田や段々状に作られた茶畑など。
 いくら何でもおかしいと思ったのは、道がどんどん細くなりついには二手に分かれたとき。
 あれだけ大きな看板があったのだから、当然曲がり角には全て看板があるはず。

 後部座席では車酔いをしたレナがお腹痛いと絶叫。
 パパは引き返すことを決意して、ママは助手席から後部座席へ移動した。
 レナにビニール袋を渡すがレナは使いたくないと言い張る。
 「気持ち悪いー」
 うーん、困ったねぇ。

 助手席でレナの相手をしていると、外を見る余裕はない。
 ただずいぶん時間がかかっているなと思った。
 さっきの道はずいぶん細かったから一方通行だったのかもしれない。
 それとももうパパはユートリオに行くことを諦めてしまったんだろうか。
 やっと蛇と出くわした道に戻ってきた。
 それから曲がり角へ。
 やっぱり道が一本違ったらしい。
 気が付くと別の道。
 くねくねと車は峠を登っていき、温泉は見晴らしの良い丘の上かと思えば、今度はくねくねと下っていく。
 後で地図を見たらここは桜峠という峠で、道は細くとも国道だった。

 レナが限界。
 カナすらも気持ちが悪いと言い出したとき、ようやく新稲子川温泉ユートリオに到着した。
 駐車場は細長く、それほど大きな施設には見えなかったが、庭園を抜けて入り口に着くと、田舎道からは違和感を感じるほど立派な建物が待っていた。
 例のふるさと創世一億円で掘り当てた日帰り温泉系だ。


やっとの思いで辿り着いたユー・トリオ




3-11.水着の忘れ物へ続く


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