7.天然鉱泉水 信玄
子供たちがいるので周りに気遣いながら入っても、いまひとつ入った気がしないのは確かだが、あまり長湯はせずに出ることにした。
温度が低かったにも関わらず、湯上がりは少しべたつくような感触が残ったが、やがてそれはすべすべした手触りに変わった。
体の表面は冷えているのだが、中からはしっかりと温まっているらしく、ぼやーんと唇のあたりが痺れている。
帳場に預けて置いた貴重品を取りに戻ったら、天然鉱泉水信玄と書かれたミネラルウォーターの1リットルペットボトルを二本くれた。
定価は一本210円。
パパは「入浴料千円と高かったけど、ペットボトル代差し引いて800円っていうところだな」と言った。