4.大市館を諦めて
道の駅から下部温泉まではまだ8キロぐらいある。
常葉川に沿った田舎道で、もうカーブはゆるやかだ。
左手の斜面に下部温泉の文字が一文字ずつ見えてきたら、あとわずか・・・。
日本の名湯100選にも選ばれたことがある下部温泉は、戦国時代の武将武田信玄が自らや兵士たちの傷を癒すために利用した隠し湯として世に名高い。
その源泉はぬるく、飲泉しても効果があると言われている。
国道から曲がるとすぐに身延線の下部駅の線路をまたぐことになる。
そしてそこからは、常葉川の支流下部川に沿って、川沿いに張り付くように伸びる温泉街が続いている。
走り始めてすぐに右手に金山博物館が見えて、それから下部温泉会館が見える。
ここは初めて下部温泉に来たときに入ったところだ。
さらに行くと同じく右手に去年入った
かがみゆがあって、道は左へ蛇行する。
実はこのあたりまでしか来たことがなかった。
しかし本当の下部温泉街はこの先にまだまだずっと続いていた。
明らかに湯治客で栄えてきた風の鄙びた店舗が並び、独特の雰囲気を醸し出している。