7.雷鳴とどろく
お風呂も混んでいた。
一週間ごとに岩風呂と桧風呂が替わるのだが、今週は岩風呂が女湯。
丸い石で縁を囲んだ浴槽の様子といい、混雑した洗い場の行列といい、yuko_nekoさんとお正月に行った新潟の
千手温泉千年の湯を思い出した。
洗うのが一つの目的だったので、黙ってカランが空くのを待っている。
ひとつ空いたところでyuko_nekoさんが子供二人いるからお先にどうぞと譲ってくれた。
まだ激しい雨が降っていた。
内湯も混み混みだったので洗い終えたらまっすぐ露天風呂に出てみた。
ここはジャグジーをのぞき全部無加水非加熱掛け流しのはずだ。
露天風呂には浴槽が二つあり、大きい方は隅の方だけ屋根がかかっていた。
当然入浴客は全員狭い屋根の下に集まっている。
僅かに白い濁りのあるお湯だ。でもほとんど透明に近い。
白い湯の花とときどき茶色っぽい湯の花。
この湯の花、手ですくってみると意外にぶよぶよとしたゼリー状で不気味だ。
薄く痛みかけたゆで卵の臭いがする。
熱すぎないがよく温まる。
yuko_nekoさんが、
しゃくなげの湯はスキー帰りに寄ると筋肉痛にならない効果が有るんだと教えてくれた。
突然雷鳴が轟いた。
恐怖のあまりちび姫ちゃんは内湯の方に舞い戻ってしまった。
おずおずとガラス越しに露天風呂の方を見ている。
カナとレナは音が遠い間はけろりとしていたが、親と離れたところで二人で遊んでいたら突然近いところで鳴り響き、仰天して戻ってきた。
しゃくなげの湯は景色も悪くない。
ただ、塀が高いので山しか見えないが。
山と山の間に雲が懸かっている。まだしばらく雨は降りそうだ。