◇◆信州高山温泉郷で夏休み◆◇
脱衣所。
ここまでは昨日も来た。
昨日は日帰り客が多かったので露天風呂に入るのは諦めたのだが、どうも今日も多そうだ。
女性用脱衣所にはいくつかスリッパがぬぎすててあった。
脱衣所では一人、目の前でタオルをきちっと巻いて、お風呂へ向かう人がいた。
松川渓谷温泉の混浴露天風呂はバスタオル巻推奨・・・いやいや、バスタオルが無いと入れてもらえないのだそうだ。
賛否両論あるかもしれないが、これだけきっぱりと決めてくれると、多くの女性にとっても入りやすいと思う。
タオルを巻いて出たところは、まだ混浴露天風呂ではない。
内風呂とも露天風呂ともつかない空間で、決して小さくない岩風呂がふたつ並んでいるが、頭上は透明なトタン板のようなもので塞がれている。
ここは女性専用の空間で、男性側にも同じ様な場所があるらしい。
ここで女性はゆっくり体を洗ったり、流したりすることができる。
また、この場所があることにより、混浴露天風呂から上がった後、ずぶぬれになって重くなったバスタオルをゆっくり処理することができる。
日帰りの場合は無理だと思うが、宿泊者は宿泊者専用浴室の脱衣所に洗濯機が設置されているので、そこで脱水を掛ければ完璧だ。
タオルの後始末の話はおいておいて、私もバスタオルを巻いて混浴露天風呂に出てみよう。
露天風呂は想像していたより広かった。
本当に大きな岩の露天風呂で、川は見えないものの遮るものもない空間だった。
深緑が頭上にせり出して、木漏れ日が湯面に反射する。
緑に囲まれているようなお風呂だった。
横に長く、ちょうど男女別の露天風呂への入り口は奥まったところにあり、女性用の出口正面には「女性専用席」と書かれた看板が立てられている。
ただ、露天風呂は混んでいた。
朝は7時から入ることができる。
誰しもが同じことを考えたらしい。
何だか昨夜の泊まり客全員が露天風呂に集合しているのではないかと思った。
松川渓谷温泉のお湯は、ごく僅かに白濁り、ほとんど透明な中に細切れの消しゴムかすのような白い湯の花が舞っている。
湯口は赤茶色に染まって、肌触りはきしきしするお湯の多いこの辺りの温泉でもダントツのきしきし感でとにかく滑りが悪い。
淡いゆで卵ととにかく温かいお湯の臭いがする。
それほど熱くはないのに、すぐに中から温まってしまう。
誰もいないときに独り占めしたいなぁ。