◇◆信州高山温泉郷で夏休み◆◇
湯上がりは石段の登りがきつい。
なのに朝食前に三回も往復することになろうとは。
部屋に戻るとトレーラーの中の子供たちがもう起きていた。
本当に三人はトレーラーの中で寝てしまった。
宿代、もったいないかも。
で、彼女たちは昨夜は遊ぶのに夢中でついにお風呂に入らなかった。
今朝の朝風呂でがっちり洗わねば。
私はカナとレナを宿泊者専用の浴室に連れていった。
あそこならシャンプーもボディーソープもある。
ところが二人を連れて脱衣所に入ったところで、ちび姫ちゃんを連れたyuko_nekoさんがあらわれた。
「中のお風呂は熱いと思うよ」
た、確かに・・・。
昨夜入った宿泊者専用のお風呂は熱かった。
浴槽が大きいからか、既に適温まで下げられている露天風呂などと違い、小さな桧の浴槽にどばどばと高温の源泉が注がれているのだから、かなり熱い。
加水は自由だが、温度を下げるには時間も掛かる。
そこでyuko_nekoさんについて、一緒に石段下の露天風呂に行くことにした。
混浴露天風呂手前にある男女別の岩風呂は、あつ湯とぬる湯に湧かれていたので、ぬる湯の方なら面倒は無いだろう。
ところがせっせと石段を下りて出かけた下のお風呂には、シャンプーも石鹸も置いてなかった。
混浴露天風呂だけでなく、男女別の岩風呂もだ。
普段なら、体は掛け湯して、頭は後日ということもあるが、今朝は何しろ昨夜入らなかった分なのだから、しっかりきっちり洗わないとならない。
「判った。私が取りに行ってくるから、yuko_nekoさんと子供たちは先に流していて」
私は一人でまた石段を登った。
ミニボトルのシャンプー、リンスと、小さな丸い石鹸を手に、私はまたまた石段を降りた。
もう息切れがするよ。
朝風呂有り、朝食無しの状態で三往復はきつすぎる。
ちょうどさっき入っていた他の人たちはみんな上がってしまって、混浴露天風呂は無人になっていた。
朝一番よりこの時間帯が狙い目なのかもね。