14.金誠館の浴室にて
部屋に戻ると、パパがお腹を空かせていた。
もし途中にコンビニか開いている店があったら何か買ってくると約束していたが、中央温泉までの往復で何か買えそうな店はどこも開いていなかった。
子供たちにはあるだけのお菓子を食べさせたので大丈夫だろうと言う。
「俺はラーメンが食べたい」
「ラーメン屋なんてどこにも開いてなかったじゃない」
「飲んだ後には汁物が食べたくなるんだ」
「・・・そういうの、よく判らないんだけど・・・」
「酒飲みの常識だ。yuko姉さんなら絶対賛同してくれる。彼女が一緒ならタクシーを呼びつけてでもラーメン屋を探すに違いない」
ごめん、私は酒は人並みに嗜む程度だから・・・。
子供たちを寝かせる前に、子供たちも宿のお風呂に連れていった。
金誠館のお風呂は不思議な作りで、内湯が二つ連結している。
浴槽も洗い場も双子のように似ていて、外に面した方だけ上部がサンルーム風になっている。
たぶん露天風呂にしたかったところ、景観と雪対策でガラス天井をつけたら内湯と何も変わらなくなってしまったというところだろうか。
長方形の御影石調の浴槽に角の所から蕩々と透明なお湯が流れ込んでいるところは、先ほど入ってきた
中央温泉と通じるところがある。
内湯が熱く、サンルームの方が少しぬるかった。
お湯の鮮度も感触も中央温泉とほぼ同じようだ。