子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★★ 二つある湯船のうち、ひとつはそれほど熱くない、泉質は問題なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆ 湯上がりにお茶が自由に飲める
子連れ家族のための温泉ポイント
送りましょうか 送られましょうか
寺が鼻まで 時雨にぬれて
昔やお六と 昔やお六と桂姫
月が出たぞえ 木影に入ろか
ままよ渡ろか 坂戸の橋を
お六甚句で お六甚句で水鏡・・・
と、紺の暖簾に白い字で染め抜かれているのは、六日町温泉金誠館のお風呂だ。
金誠館の浴室は、男湯がお六の湯、女湯が桂姫の湯と名付けられている。
魚野川流域の六日町から東をのぞむと坂戸山という小高い山が見える。
坂戸山には坂戸城という国の文化財に指定されている山城の跡が残るが、この城で育った歴史上の人物に上杉謙信の養子となった上杉景勝がいる。
上杉景勝と兄弟同然に育ち、景勝の側近として名をあげた小姓、与六が六日町に伝わる民謡お六甚句のお六のモデルとされている。桂姫というのは上杉景勝の妹だ。
与六は跡取りのいない直江家を継ぎ、山形の米沢三十万石を治めるまでになった。
彼こそが後に戦国時代最大の智将とも呼ばれた直江兼続である。
さて、六日町というのはそんな上杉景勝や直江兼続を育てた土地柄であるが、今はスキーと温泉で知られている。
彩食一心 金誠館は、六日町駅からお六甚句にも詠われた坂戸橋周辺に点在する六日町温泉の旅館の一つだ。
旅館業の他にヨーロピアン調の結婚式場も備えており、手作りウェディングを推奨している。
客室は全8室。
2000年にリニューアルオープン、館内は清潔で洒落たモダンな和風宿となっている。
大雪の降りしきる2006年の1月3日、スキーではなく温泉目当てで宿泊した。
通された部屋は月の間。こちらの客室はひとつひとつデザインが異なる。
宿泊して思ったことだが、この旅館ではスタッフの対応がよい。
みんな目的意識を持って仕事をしているようだ。決して大きな宿ではないけれど、各々の部署で一流を目指したい、お客さんの立場に立ってお世話をしたいという意気込みが伝わってくる。
いい意味で若さと向上心を感じるところだ。
金誠館のお風呂は不思議な作りで、内湯が二つ連結している。
浴槽も洗い場も双子のように似ていて、外に面した方だけ上部がサンルーム風になっている。
たぶん露天風呂にしたかったところ、景観と雪対策でガラス天井をつけたら内湯と何も変わらなくなってしまったというところだろうか。
長方形の御影石調の浴槽に角の所から蕩々と透明なお湯が流れ込んでいる。
内湯が熱く、サンルームの方が少しぬるかった。
淡い石膏の臭いと甘い臭い。きしきしとして少しぺとぺととする。
美人の湯と呼ばれるが、湯上がりでもそれほど明瞭なすべすべ感は無い。
引いている源泉は六日町の公衆浴場中央温泉と同じ六日町混合泉(7号井・12号井・13号井)で、非加熱非加水掛け流し。
何故か夕方から夜にかけて、地元の人が次々と入浴に訪れる。
ここは小綺麗な和風旅館の外観とは裏腹に、ご近所さんの気さくな温泉銭湯の役割も果たしているのかもしれない。