子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★★★★★ 湯温は少し熱め、泉質は問題なし
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★☆☆☆ 脱衣所にベビーベッド代わりに使えそうな長椅子有り
子連れ家族のための温泉ポイント
雪の降りしきる夜、軽装で泊まった宿を出て、魚野川に架かる坂戸橋を渡り、中央温泉に向かって歩き始めた時、既に後悔は始まっていた。
寒いし、足下はぬかるんでいるし、歩道の周囲は雪の壁だし、正月三が日の明けていない商店街はどこもシャッターを下ろしたままで道には他に人影もない。
けれど郵便局の隣に中央温泉の看板が光っているのを見つけたとき、何だかホッと心が温かくなった。
入り口から既に男湯と女湯が別れていて、暖簾とお正月飾りが下がっている。
朝10時から夜11時までの営業だが、「夜 十一時にお出でいただいても ごゆっくりと 十一時を過ぎても ご入浴をお楽しみ下さい」と張り紙にある。
ドアを開けると入り口に昔懐かしい番台があり、男湯女湯両方から入浴料が徴収できるようになっている。
狭い入り口で靴を脱いでいると、さらにもう一人入浴客がやってきて回数券を払っていた。
案の定靴の中も靴下もびしょびしょだった。ジーンズの裾もだ。仕方ない。帰りのことはまたお風呂上がりに考えるとして、とにかく早く入ろう。
先客も一人いた。
私とほぼ同時に入ってきた人と浴室には全部で三人。
長方形で一箇所だけ角を丸めた御影石調の浴槽がひとつ。透明な湯が溢れている。
外の見える窓が無い代わりに、壁に奥入瀬だかの清流の写真が貼ってあるのが何とも妙な味を出している。
料金を払うときに番台の奥さんが「今日はお湯がぬるめで申し訳ないです」と言っていたので、本当にぬるいのかと思ったらかなり熱かった。
普段は43~44度ぐらいあるそうだが、ここ数日源泉の温度が下がっていて41~42度程度しかないのだそうだ。いや42度あれば十分だと思うけど、外が寒かったせいか体感温度的にはもっと高く感じた。
肌触りはきしつく。
石膏のような薬っぽい臭いとどこか甘いような臭いがほんのわずかする。
でも昨日まで入っていた松之山の濃すぎるお湯に比べれば硬さは感じるもののそんなに強いインパクトは無い。
雪のせいで外の物音は聞こえない。
密閉された浴室で湯の音が響くだけだ。
脱衣所に戻ると、まだ幼稚園にも行っていないくらいの小さな男の子が一人で立っていた。
「あれ? お母さんは?」
吃驚する私に、番台の上から声が聞こえた。
「子供一人だと思った?」
すぐにドアが開いてお母さんらしい人が入ってきた。外で傘の雪を落としていたらしい。
そして彼女は先ほどから番台にいた奥さんと交替して番台に座った。
お先にと奥さんは雪の中、帰っていく。
交替したお母さんはきっと子守をしながら番台を勤めるんだ。
終了時間の十一時を過ぎてもごゆっくりと張り紙があったけれど、こういう方たちが快く管理してくれているからこそ、遅くに仕事を終えた人でも温泉で一息つくことができるんだなとそんな風に思った。
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