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がんばれ新潟■雪国のお正月*2006■

10.六日町



 10分後、私たちは胸をなで下ろしながら六日町の町中を走っていた。
 あのまま車が動かなくなったらどうしようかと思った。
 何とか横道でターンし、恐る恐るもと来た道を戻った。
 たぶん一つだけ残されていた轍の跡は、今日通った除雪車がつけたものだろう。
 頼むからあんな半端な所まで除雪せずに、行き止まりになるなら道の入り口から行き止まりにしてほしい。

 六日町の中心地はさながらゴーストタウンだった。
 道の両側に古くからあると思われる商店街のアーケードが連なっているが、まだ5時過ぎなのにどの店もシャッターを下ろし人影がまったく無い。
 街灯だけが消雪パイプで融雪された路上を照らしている。
 まだ1月3日なので店がみんな正月休みなのだ。
 コンビニも見あたらない。
 どうもこのまま真っ直ぐ宿へ入るほか無さそうだ。

 商店街の真ん中で左折して、坂戸橋という橋で魚野川を渡ると、広い通りに出る。
 直進すれば坂戸山があり坂戸城という国の文化財に指定されている城跡に出るが六日町の温泉街はこの広い通りを右に曲がって少し行った辺りにある。
 清流館、日章館などと並んでいる先に、予約した金誠館が建っていた。


さながらゴーストタウンのようだった六日町市街


 金誠館は宿としてはそんなに大きくない。
 客室は8室。
 しかし昔は六日町総合結婚式場と呼ばれていたこともあり、ウェディングにも力を入れている。
 数年前に代替わりして大幅にリニューアル。
 若く新しい力を感じるモダンな和風旅館に生まれ変わっている。

 入り口に車を停めると駐車場で除雪作業をしていた若い従業員が、お車は移動しておきますのでどうぞそのままお入り下さいと玄関を指し示した。
 ロビーは旅館と言うよりこぢんまりしたホテルのようだった。
 ちょっとしたティーラウンジがあり、巨大なテディベアが三匹も並んでいる。
 通された部屋は二階で月の間というという名前。なんと浴室の隣だ。風呂好きとしてはこれは嬉しい。
 お部屋の戸を開けてこれまた吃驚。
 えらく洒落ていて綺麗だ。
 広くは無いが、木の香りがしそうに壁も柱も新しいし、独創性を感じる。
 この旅館は8室全てが違うデザインなのだ。


彩食一心 金誠館
到着した日はもう暗くなっていて雪も激しかったので、外観の撮影は翌日のもの 通された月の間
広くはないがお洒落だと思う。気に入りました。




5-11.わざわざ外のお風呂に行きたがる物好きへ続く


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