10.六日町
10分後、私たちは胸をなで下ろしながら六日町の町中を走っていた。
あのまま車が動かなくなったらどうしようかと思った。
何とか横道でターンし、恐る恐るもと来た道を戻った。
たぶん一つだけ残されていた轍の跡は、今日通った除雪車がつけたものだろう。
頼むからあんな半端な所まで除雪せずに、行き止まりになるなら道の入り口から行き止まりにしてほしい。
六日町の中心地はさながらゴーストタウンだった。
道の両側に古くからあると思われる商店街のアーケードが連なっているが、まだ5時過ぎなのにどの店もシャッターを下ろし人影がまったく無い。
街灯だけが消雪パイプで融雪された路上を照らしている。
まだ1月3日なので店がみんな正月休みなのだ。
コンビニも見あたらない。
どうもこのまま真っ直ぐ宿へ入るほか無さそうだ。
商店街の真ん中で左折して、坂戸橋という橋で魚野川を渡ると、広い通りに出る。
直進すれば坂戸山があり坂戸城という国の文化財に指定されている城跡に出るが六日町の温泉街はこの広い通りを右に曲がって少し行った辺りにある。
清流館、日章館などと並んでいる先に、予約した
金誠館が建っていた。