1.もし秋山郷に宿を取っていたら・・・
最初に立てた予定では、新潟は旧松代町にある貸民家みらい2号館で年末年始4泊を過ごして、1月3日には東京へ戻るつもりだった。
しかし12月も後半に差し掛かって、パパが3日は渋滞のピークだ、延々何時間も高速道路上でイライラしているくらいなら、安いところでもう一泊して帰ろうと言い出した。
安くたってがっかりするところは嫌だという。
ペンションみたいなところも狭い部屋にベッドを詰め込んであって嫌だという。
どうせ泊まるなら温泉が良いという。
ついでに私は、どうせ温泉に泊まるなら、お湯遣いの良いところがいいなと独り言で付け加える。
渋滞のピークが3日だと言う割には、4日まで永逗留する人が多いのか、宿はどこもその日まで強気の正月料金だ。
後でyuko_nekoさんに教えてもらったが、正月は食材の値段も上がるので否応なしに宿代も跳ね上がるのだそうだ。
その上、目を付けるところはどこも4日まで満室。
といってもそんなに真剣に空き室を探したわけじゃない。
正月料金で家族四人・・・。
そこそこ名の通ったところは無理だろう。
だいたい問題は子供料金なのだ。
大人の宿泊料だけでは家族料金は計れない。大人一人が格安でも、子供も同料金を取る宿では割が合わない。
特にうちの子供たちはあまり食事を食べないのだ。
子供にも大人と同じ食事など用意されたらもったいなくて涙が出る。
やっと直前に
トクー!トラベル
でこれはと思う宿を見つけた。
六日町温泉の金誠館。
トクーのクチコミで部屋と食事とスタッフの評価がとても高い。その分周辺環境と眺望の評価は低いが、一泊するだけならそれほど気にならないだろう。
しかも温泉は掛け流しだ。
子供の料金設定が特に割安なわけではないが、とにかく大人一人が格安だ。
正月料金素泊まりで5千円ちょっと。
その上、即時予約扱いになっているから、子供料金を嫌がられて断られることもないだろう。
本当は二食付きにしたいところだが、大人だけ食事付きといった料金設定ができないため、結局朝食だけお願いすることにした。
実はこの六日町の金誠館に決める前は津南・秋山郷で宿を探していた。
以前からこのエリアは憧れの地で、できれば夏にゆっくり訪れたいと思っていた。
秋山郷というのは、新潟県津南町と長野県栄村にまたがって伸びる国道405号線沿いに点在する集落の総称で、平家の落人伝説が伝わる秘境だ。
信濃川の支流 中津川に沿って逆巻、結東、屋敷、和山、切明などの温泉地が一軒宿又は数軒の宿を抱えていて、それぞれに秘湯と呼ばれている。
いくつかは眺望の良い露天風呂を備えていて、リーズナブルに泊まれる公共の宿もある。
とにかく最奥の切明など405号線の先の方の集落は、長野県でありながら冬季は新潟県側からしかアクセスできない辺境だ。
秋山郷を諦めたのは、ひとえに露天風呂が冬季閉鎖の所が多かったからだった。
やっぱり秋山郷は夏に行きたい・・・。
ところがこの秋山郷、私たちが旅行を終えた直後、とんでもないことになってしまった。
4メートルもの大雪が降り、唯一の動脈である国道が不通となり、なんと200世帯500名、雪に閉ざされ孤立してしまった。
今こうして旅行記をまとめている1月11日現在、未だ国道の通行止め解除の目処は立っていない。
もし私たちも秋山郷に泊まっていたら、帰ってこられなくなっていたかもしれない。