9.ボーゲンはお星様
冬の山の日は短い。
あっと言う間にゲレンデは山の影で覆い尽くされた。
あれほど暖かかったのに、急に風が冷たくなる。
レッスン後半になって、ようやくカナたちにもリフトに乗ることが許された。
先生がマンツーマンでついて、初めてクラスの子供たちをリフトに乗せる。
あっ、カナがリフトの手前で転んだ。
係りの人はいったんリフトを止めてくれた。校長先生がカナを抱きかかえてリフトに乗せてくれる。ホッとした。
ちょうど下に降りてきたパパが、カナが登っていったと聞いて、レナを置いて後を追った。
置いてけぼりをくらってレナは不満顔。
「待って。レナも行く!!」
カナが二度目にリフトに乗ったときは、パパはレナも同行せざるを得なかった。
レナの滑りっぷりは潔く、怖いもの知らずだ。
カナは地道に先生の言いつけを守り、「大」の字になって滑り降りてきた。
遠くから見るとお星様のようだ。
先生は最後に、次にスクールに入るときは、もうハの字で滑れるクラスに入って良いですと言ってくれた。
今日の温泉は松之山。
yuko_nekoさんたちは
ナステビュウに行きたいと言っていて、私はまだ行ったことのない
鷹の湯に行ってみたかった。
そこで二ヶ所を梯子する計画を立てたが、パパに反対された。
まあ確かに、スキーの後でそんなに時間もないし、今日は一ヶ所にしておきますか。
それで正解。
松之山温泉はあまりに濃くて消耗するので、湯上がりには私もyuko_nekoさんも一ヶ所で精一杯だと悟った。
「ナステビュウはいいよ」とパパ。
私も気に入っている。
ちゅうど一年ぐらい前。年末の30日に入ったのだ。
翌日の31日にyuko_nekoさんたちが行こうとしたが、残念ながら大晦日はここは休業だ。
春にみらい5号館に泊まったとき、ぽこさんたちにも勧めて、確かぽこさんとタクくんも二人で入ってきたはずだ。