2.松代の年越しは大晦日の昼にはやってくる
若井さんたちが再び雪下ろし作業に入ると、我が家は昼食を取りに松代駅前に移動した。
しかし・・・
「あれ? 閉まってるみたい・・・」
松代駅の側の蕎麦屋、善屋の戸は閉ざされていた。
入り口に張り紙がしてあって、今日は予約の出前のみ。明日からは正月休みと書かれている。
大晦日に蕎麦屋が閉まってるなんて聞いたこと無いぞ。
流石は31日の午後から年越しに入ってしまう松代だ。
仕方ないのですぐ先に見えていた、はらた家という食事処に行ってみた。
ところがどっこい、ここも休業の札が下がっている。
予想もしていなかったが、大晦日の松代で、昼食難民になってしまった。
とりあえずいつもの三笠屋酒店に寄った。
パパは松代に来ると必ずここの八海山一升瓶を購入する。
これが囲炉裏端の友なのだ。
三笠屋ではいつものご主人ではなく奥さんが店番していた。
「この辺りの食事処はみんな今日から閉まってるんですね」
「あらそう。うちは暮れも正月も無いから・・・元旦も開けてますよ」
あと思いつくのは松代駅の二階にある食事処だが、そこは前に食べたことがある。
なんとなく違うところへ行ってみたい気分だった。
パパはこの後どこか温泉に行ってもいいって言っていた。
「松之山のはずれに、
じょうもんの湯おふくろ館というセンター系があって、そこで蕎麦が食べられるはずだよ」
「じゃあ松之山に行ってみよう」