道を上り詰めると、いつか見た懐かしい田舎の風景が広がっていた。
風にそよぐ稲の葉、十重二十重に霞む山々。
道ばたには天を突き刺す威勢の良い立ち葵の花。
蝉の声。
銀やんま。
町営露天風呂翠の湯は、
植木屋旅館で受け付けてくれる。
但し、旅館の中に入らなくても料金が払えるようになっている。
駐車場は植木屋とは別。100メートルほど離れている。
夏休みとはいえ平日なので、先客はいないようだ。
子供たちは最初はママと入ると言っていたが、パパが壁の向こうから呼ぶと、カナが、続いてレナも行ってしまった。
珍しくゆっくり一人で入れそうだ。