子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★☆☆☆ 湯温は少し熱め、泉質は塩分が強く濃いので長湯注意
- 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★★★☆ 幼児向けの設備は無し、浴槽が濁り湯で底が見えないので入るとき注意
子連れ家族のための温泉ポイント
日本三大薬湯のひとつ、新潟県の松之山温泉郷は雪深い山あいに湧いている。
温泉街の中心部は町営の鷹ノ湯があるあたりで、何軒かの旅館と食事どころが軒を連ねているが、ここから少し離れた高台に兎口と呼ばれる源泉の湧く一画がある。
道を上り詰めると、いつか見た懐かしい田舎の風景が広がっていた。
風にそよぐ稲の葉、十重二十重に霞む山々。
道ばたには天を突き刺す威勢の良い立ち葵の花。
蝉の声。
銀やんま。
坂の上に古めかしい宿が一軒建っている。
これは植木屋旅館と言って庚申の湯を引く老舗旅館で、雪の中訪ねたことがある。
今回やってきたのはこの植木屋旅館の敷地内にあり、雪のない季節にしか入ることのできない露天風呂、翠の湯に入らせてもらうためだった。
町営露天風呂翠の湯は、その植木屋旅館で受け付けてくれる。
但し、旅館の中に入らなくても料金が払えるようになっている。
駐車場は植木屋とは別。100メートルほど離れている。
翠の湯は本当に男女別の露天風呂が一つ。シャワーもカランもロッカーも何もない。
木の浴槽はちょっと植木屋旅館の館内のお風呂を思い出す。
たたえられている兎口源泉のお湯は鈍い緑色に濁っていて底は全く見えない。
少し熱めだ。
臭いは灯油と言うよりガソリンのようだ。
風情有るこの浴槽に不釣り合いなサンタクロース柄のプラスチックコップがあったので一口飲んでみたが・・・。
うっ・・・。
前にテレビで北朝鮮の名物高級料理にアサリだかハマグリだかにガソリンをかけて火をつけて食べるというのをやっていたが、想像するにあんな感じ。
レポーターは最初は美味しく感じるが、そのうち舌にガソリンの味が残るようになってきて気持ち悪くなってくると評していた。
翠の湯は味以前にその強い臭いが鼻に入ってきて、とてもごくごくと飲めたものではなかった。
強烈だなぁ。
女湯からはブナの林が見える。
風に揺れる柔らかい緑の葉はまるで水彩画で描かれたようだ。
お湯はとにかく塩分が強く濃厚さを感じる。
入るときは最初は肌が抵抗してびりびりするが、やがてだんだん馴染んでくる。
湯口の近くでお湯を巻き上げるとセピア色の湯花が沢山舞い上がる。
蝉の声を聞きながら夏の露天風呂。
子供の頃、虫取り網を手に野山を駆け回った思い出が、昨日のことのように思われるノスタルジックな温泉。