6.にゅるにゅるすべすべ美肌温泉
城と名についているだけあって、大仰な外観だ。
入り口に巨大な提灯が下がっている。戸や塀などひとつひとつ時代がかった作りだ。
入り口で日帰り入浴の可否を問うと、入浴料は千円ですと言われた。
予想していたより高め。
靴を脱がずとも、右手のドアから直接浴室に移動できるようになっている。これはなかなか、日帰り入浴を手広くやっているなぁという感じだった。
部分的に工事中のような壁があったのは残念だが、通路もなかなか凝った作りだ。昔の殿様になった気分が味わえる。
途中に休憩室があった。畳張りで木のテーブルとテレビと書棚がある。スキー客などに需要があるのだろう。
男湯は手前、女湯は奥。中の作りは同じようだ。
脱衣所にはストーブもあった。こういうところは流石に千円取るだけあるなという感じだ。しかし露天風呂は無い。
浴室は、壁は木造、床と浴槽は石だ。浴槽はほぼ正方形で、中央の岩から湯が出ている。
他に入浴客はいないので気楽だ。
子供たちを洗って、適当に入らせた。二人とも嫌がらずに入るほどの温度だ。熱くない。
すっごくにゅるにゅるとするお湯だ。最近入った中では、
正徳寺温泉初花に匹敵する。このところ塩分の濃いいかにも塩っぽいお湯にばかり入っていたので、この指の間をにゅるにゅると滑る感触はなかなか新鮮だ。
臭いは昆布出汁風。泡付き少々。
ここに来たのは正解だ。
高七城でこれだけ良いお湯なのだから、果たして幽谷荘はどんな感じだったのだろう。
お湯の中でにゅるにゅるするだけじゃなく、お湯から上がってもすべすべする。すべすべを通り越して指先などつるつるする。この二つの感触が強力に両方揃っているのもなかなか優秀だ。
のんびり入っていたら、流石にのぼせてしまった。
レナは母以上に長湯だが、カナはその様子に呆れてさっさと一人で上がってしまった。