6.天上の露天風呂
おお、絶景。
こりゃいいや。
湯船から遮ることなく、南方にそびえる二千メートル級の山々が見渡せる。
ひときわ白いのはランドマーク、苗場山。谷川岳もよく見える。
灰色の空の下、白い山の雪景色と黒々とした木立。
昔話の民話を版画にした絵本のように、どこか懐かしく厳しい風景だった。
露天風呂のお湯は緑色だった。
今回リニューアルオープンにあたって、今までの芝峠源泉に加えて新規掘削された芝峠2号源泉がこちらに引かれているはずだ。
元々ある20度台の強塩泉源泉と比較して、2号源泉は少し成分は薄いはずだが40数度と温度には恵まれている。
いい感じの油臭もする。
松之山ほど癖がないが、ちょっと焦げた感じの臭いだ。
きしつく感じはあまりなく、ほんのわずかすべすべする。
このあたりに湧く温泉は、油の臭いが強く塩分の濃いお湯が多い。
子供たちも露天風呂へ移ってきた。
「すごぉい」
「絵みたい」
絵みたいっていう表現が面白い。
転落防止にガラスが張ってある。これが展望を遮る衝立ではなくガラスというのが嬉しい。
子供たち三人並んで外の景色を見ている。
これはまさに天上の露天風呂。