露天風呂ではなく野天風呂という名称から、私はもっと野趣溢れるお風呂を想像していた。
しかしそこにあったのは、開放感こそ溢れるものの、プールのように四角い無粋な浴槽が二つだった。
一応周囲には岩を配置してあるし、どうやらお風呂の中にも座って休んだりできるように大きな岩がいくつか置いてあるようだが、何となくプールっぽいのだ。浴槽の縁の作りがいけないのかな。
二つあるお風呂のお湯は色が違っていた。
手前がほぼ透明に近い緑。白い湯の花はぱらぱら浮いている。
奥は綺麗な乳白色。濁りが強くて底は見えない。
手前の浴槽の近くに源泉を貯める小さな槽と、そこにじゃぼじゃぼとパイプから注がれる源泉がある。
その槽から別のパイプを通って二つある浴槽に源泉が流れ込むようになっている。
しかし浴槽に繋がるパイプは透明度が高い手前の方は出口が上向きに、濁り湯の奥の方は出口が下向きに付いている。単純に考えれば上向きの湯口からは少量の、下向きの湯口からは大量の源泉が注がれると言うことか。
それだけを考えると、手前浴槽の方がお湯の回転が悪く、ぬるくなり、奥の浴槽はお湯の回転が良く、熱くなるはずだと思うが、実際は何故か奥の浴槽にだけホースから水が引き込まれていて、どっちの浴槽もおんなじような温度になっていた。
これじゃせっかく二つに分けている意味があんまり無いような・・・。
お湯そのものはさっき五色の湯旅館で入った
五色温泉とキャラがかぶっている上にパンチ力が弱い。何となく薄く感じる。それはもしかしたら
七味温泉に来る前に五色温泉に入るという贅沢をしてしまったからで、普通に七味温泉にだけ入っていたらそうは思わなかったのかもしれないが。
ここに入って逆に五色温泉の凄さが判ったような気もする。
でも野天風呂から見る靄を被った山々の景色は濃淡の緑色を塗り重ねた絵画のようで、しばらくここに入っているとすっかり気分が良くなった。