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九州温泉巡り旅行記*阿蘇-長湯温泉-黒川温泉
> 3-29夜の露天風呂を渡る風
◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉
29.夜の露天風呂を渡る風
お腹もいっぱいになって後は寝るだけなんだけど、もう一ヶ所だけ行きたいところがある。
それは「さおと女」という独立した湯小屋で、露天風呂や内湯に行く道の一番手前に建っている。
山みず木
外来客の食事処の井野屋より手前だ。
ここは昼間は貸切風呂として使用されているのだが、夜9時から11時だけ女湯になる(土日祝日は午後2時から女湯になる)。
混んでいるかなと思ったけど、やっぱり誰もいない。本当に今回の旅行は湯船独占率が高い。
気持ち薄暗くて、髪を洗っているとちょっと怖かった。他に誰か入浴客がいれば別段何も怖くないが。
山みず木としては比較的普通の湯船で、もしかしたらここが一番古い浴室なのかもしれない。
縁は素朴さが感じられる木目が溝になった木製で、筒状の湯口からお湯が落ちている。
正直なところ、湯船のサイズや洗い場の数から、これはどう見ても貸切風呂とは思えない。本当に普通の浴室という雰囲気。
そしてもう一度浴衣を着ないと移動できないけど、最後にやっぱり露天風呂に入りに行った。
露天風呂は流石に先客がいたが、長湯をしているうちにいつの間にか一人になっていた。
月は見えないが、夜空がすっぽりと周囲を覆っている。
昼間より川の気配を感じる。
さわさわと風に梢が揺られて葉が密やかな音を立てる。
温度が下がって体温より少し暖かいぐらいに感じるお湯が全身を包んでいて、もうこのままずっとここにいられたら幸せだなと思った。
山みず木の玄関
4-1鍋ヶ滝へ行ってみよう
へ続く
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