ところが筋湯温泉の方角に車を進めると、まず一軒「大高原」という宿があって、それから細い道に入りガードレールが赤錆びだらけの小さな橋を渡って筋湯温泉公共駐車場と札の立っている空き地に来たのだが、これって本当に温泉街の公共駐車場?という不安がひしひしと押し寄せてきた。
そこからは下り坂だった。
車は駐車場に置いて、少し歩くとすぐに右手に神社の細い石段が見通しの悪い山の上へ続いている。
道路の方は左にカーブして、眼下に古びた温泉街が現れた。
天気が悪いせいで、益々鄙びて見える。
急坂を下って温泉街に入ると、すぐに右手の路地に共同浴場を見つけた。どうやらこれが
薬師湯で、今日はそこは女性専用だと札が下がっている。
すぐに
岩ん湯も見つかって、絵地図で見た時は離れていると思ったこの二つの共同浴場は、小さな温泉街では目と鼻の先にあることが判った。